リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021「一生を描ききる女性力を。」をビジョンに掲げ、女子総合大学として幅広い領域での人材育成・輩出を推進する武庫川女子大学。その意図と今後の展望について瀬口和義学長に伺った。武庫川女子大学(以下、武庫女)の3学部新増設・改組、社会とのつながりの強化等は、100周年に向けた飛躍を目指すプロジェクト「MUKOJO ACTION 2019-2039」の一連の取り組みだ。武庫女の母体となる武庫川学院が創立80周年を迎えた2019年より、「一生を描ききる女性力を。」をビジョンに掲げ、「日本の女子大を、更新しよう。」をスローガンに女性のキャリア形成や学びの幅を広げる取り組みを推進している。このビジョンについて、瀬口学長は「より一層女性の活躍が求められる令和の時代において、自らの意志と行動力で可能性を広げ、生涯を切り拓いていく女性を育てていくという宣言」と説明する。さらに、「ジェンダーギャップに立ち向かうことのできる力、キャリアについて自ら考え構築する力、男性に比べて変化の激しい人生においてライフイベントを乗り越えられる力、この3つの力を育てることが、100周年に向けた20年間で本学がやるべきことです」と続ける。そして推し進められたのが、大学自体をよりオープンな場にすることだ。2019年10月には、キャンパス最寄り駅の阪神電車「鳴尾・武庫川女子大前」駅の高架下空間に、公開講座等に利用できるレクチャールームやカフェ、スポーツジム、訪問看護ステーションなどを備えた「武庫女ステーションキャンパス」を開設、学生の学びと地域活性化の拠点とした。また、2020年に新設した経営学部の校舎のコンセプトを「シェアードスタジオ」とし、教職員、学生、学外の人々のオープンなコミュニケーションを促すオープンレイアウトにした。「かつての女子大は、閉ざされた世界で教養教育を受ける場でしたが、多様な場面に人材を輩出していくには、社会との接点を増やしていくことが必要。そのために、セキュリティーに配慮しつつ、垣根を除いてよりオープンにしていく」と瀬口学長は話す。大学自体を開かれた場にするだけでなく、学生が外に出て社会との接点を持つ機会も増やしている。例えば経営学部は、企業等での「インターンシップ」、地域でのボランティア活動「サービスラーニング」、調査・研究のための「フィールドワーク」の選択必修3科目を設けて1年後期から履修可能とし、企業や自治体、NPO等と連携して、これまで99プロジェクトに延べ700名の学生を送り出している(2021年8月時点)。「女子学生の場合、経験則上、実地での学びから生じた疑問をもとに座学で理論を学ぶほうが、教育効果が高い傾向があります。また、社会に出た後には、正解のない課題に対峙して答えを見つけ出すことが繰り返し求められる。よって、早いうちに社会との接点を持って疑問や問いを得て、その解決のために学ぶという経験を重ねておいたほうがよい」と瀬口学長は話す。学生が外に出ていくことと企業や地域の人々を大学に呼び込むことは、全学で積極的に進めていくという。18武庫川女子大学社会課題解決に取り組む大学事例自律的にキャリアを描ける教育を行い人材ニーズの高い領域に女性を輩出する女性活躍の時代に、自らの意志と行動力で可能性を広げる女性を育てる大学を開かれた場に変え社会とのつながりを強化Case Studies_2瀬口和義 学長
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