カレッジマネジメント230号
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21リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021開学30周年を迎えた2021年、次の30年に向けた中期計画「ビジョン2024」では、新しい人材「チェンジメーカー(社会を変革する人)」の育成を目指す。AIやデータサイエンスを駆使し、感性とロジックの両面から課題解決、価値創造することで、柔らかく分野を横断していける人だ。正課授業で地域貢献を手がけるデザイン工学部はもとより(図2参照)、芸術学部にとっては自分のアートを一般の人に分かりやすい言葉で伝える力がそれだ。地域貢献事業として2年に一度主催する芸術祭「山形ビエンナーレ」の主役はまさに芸術学部の学生と教員で、全ての学生にチェンジメーカーとなる機会が与えられている。現在の募集状況は東北地域出身者が6〜7割を占めるが、関西や九州からも学生が欲しいという。山形の社会課題をクリエイティブの力で解決するメソッドは、他の地域に持ち帰って実践できるからだ。18歳人口が減少し、どう生き残っていくかが地方大学の命題となる中、どんな大学でありたいかと問うと、「使える大学」との答えが返ってきた。「困ったら芸工大に知恵を借りよう。この地域に芸工大があってよかったと言われたら最高」と中山学長。そして「今一番新しい力を教えるという意味において、本学が背負った責任は大きい。他の地域の大学にも真似てもらいたいし、そうでないと国全体が面白くならない」と気概を見せた。(文/能地泰代) 現在、産学連携の依頼が年間100本に上り、デザイン工学部の3,4年生の演習の約7割の授業にクライアントがついている。「他大学でも産学連携は行われているが、うちはお題をこなして終わりでは困る。現役のプロが監修し、彼らが面白いと取り組んでいるかどうかでプロジェクトのクオリティーが変わってくる。今では地方紙に本学の記事が載らない日はないほど地域に必要とされ、誰もが知る存在になれた」と学長は語る。2009年頃から、教育の成果指標「実社会で活躍する人材の輩出」を可視化しようと就職内定率の向上に力を入れた。その結果、就職内定率は2019年度に97.1%となり、芸術系大学のトップクラスとなった。目指す姿が変わると、欲しい学生像も変わる。絵だけを描きたい子とともに、勉強に意欲的な異能異才も欲しいが、芸術工科の校名であるがゆえに、高校の窓口対応は美術の先生、高校生本人が志望しても保護者に反対されてしまう。『超・美大』は旧来の美大だと思わないでという意味もあった。「東京大学とロンドンのRCA※1等、一般大学とアート系大学の連携が進み、『デザイン思考』で問題解決のプロセスを学ぶスタンフォード大学の「d.school」修了がステータスとなりつつある。山形大学もそのことに気づいていて、デザインの学びは今社会全体で必要とされている」(中山学長)第1特集●大学ブランド 未来の指標人口が減少する自治体に 必要な政策多くの授業にクライアントがいる実績チェンジメーカーで社会を変革する※1 RCA (Royal College of Art)コミュニティデザイン コミュニティデザイン学科地域の課題を解決する市民を 形成・支援する技術クリエイティブ戦略 グラフィックデザイン学科、企画構想学科、映像学科 他住み続けたい人、訪れたい人の 心を動かすコミュニケーション戦略公民連携 都市経営プロフェッショナルスクール(旧公民連携Pスクール) 自治体と民間が協力し 稼ぐインフラをつくる経営戦略リノベーションまちづくり 建築・環境デザイン学科増え続ける遊休不動産を 資産に変える方法論図2 東北芸術工科大学の四つの地域課題解決のメソッド

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