カレッジマネジメント230号
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43リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021営銘柄」として2015年より選定してきた。2020年からは、デジタル技術を前提としてビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていくDXに取り組む企業を、「DX銘柄」として選定している。その選定に向け、国内上場企業約3700社(一部、二部、マザーズ、JASDAQ)を対象に実施される調査が、DX調査である。DX銘柄は、DX経営におけるグッドプラクティスモデルを広く波及させることで、DXに関する経営者の意識変革を促すことが目的だ。2021年度版の選定内容は紙幅の関係上別の機会に譲るとして、本稿ではその評価の方策について解説したい。DX銘柄2021選定は、3段階選考である。一次評価は、DX調査2021の選択式項目及び3年平均のROEに基づきスコアリングを実施し、一定基準以上の企業を候補企業として選定。二次評価及び最終選考では、DX調査2021の記述回答についてDX銘柄評価委員が評価を実施。その結果をもとに、DX銘柄評価委員会による最終審査を実施し、業種ごとに優れた企業を「DX銘柄2021」として選定している。一次評価では図3に示す項目の評価が実施された。これらはデジタルガバナンス・コードの柱立てと対応している。特にⅠにある「ビジョン・ビジネスモデル」は、「この企業は何のために存在し、どういう領域で価値提供をしていくのか、という全ての起点」と田辺氏は言う。ここで重要なのは、立脚するドメインと価値創出の方向性を、デジタルを踏まえて描けているか。方向性はDXらしく描いてあっても、方法論としてのビジネスモデルが旧態依然では意味がない。高等教育機関の「建学の精神」に類似するものとして読み替えたとき、貴学のビジョンはデジタルを踏まえたものになっているかを考えると分かりやすい。二次評価では図4に示すように、「企業価値貢献」と「DX実現能力」の2軸で評価を行い、特に前者を重視する。「まずはDXを企業価値向上にどう使うのかという観点が重要です」(田辺氏)。システムを入れたり、IT部署を作ったりすることがゴールではない。「企業価値貢献」の中でも「既存ビジネスモデルの深化」より「業態変革・新規ビジネスモデルの創出」を高く評価するのも、同じ意図である。一方で、「DX実現能力」が評価するのは、DXを進めようとしたときに準備ができている組織かという点である。高等教育機関の経営においても、マインドが「企業価値貢献」の「既存ビジネスモデルの深化」に寄っているのではないか。「業態変革・新規ビジネスモデルの創出」に寄与するにはどのような経営指針が必要になるだろうか。前号で「大学の変化対応力」について記事を掲載したが、DXとはまさに変化対応力であり、急激な社会環境変化に対する組織のレジリエンスであり、経営戦略そのものである。経産省の政策にはそうした検討のヒントが多く散りばめられているように思う。(文/鹿島 梓)Ⅱ戦略Ⅱ-①戦略実現のための組織・制度等Ⅲ成果と重要な成果指標の共有ⅣガバナンスⅠビジョン・ビジネスモデルⅡ-②戦略実現のためのデジタル技術の活用・情報システム図3 一次評価項目の柱立て第2特集●DXによる新たな価値創出2.DX実現能力①経営ビジョン②戦略②-1組織、人材、企業文化②-2IT・デジタル技術活用環境の整備③-1情報発信・コミットメント③-2経営戦略の進捗・成果把握、軌道修正③-3デジタル化リスク把握・対応1.企業価値貢献B.業態変革・新規ビジネスモデルの創出A.既存ビジネスモデルの深化①ビジネスモデルの深化②取組の成果指標③ビジネスとしての成果①新規ビジネスモデル等創出②取組の成果指標③ビジネスとしての成果図4 二次評価項目

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