カレッジマネジメント230号
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44リクルートカレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021DXという言葉が、企業活動やサービスの場において叫ばれるようになって久しいが、高等教育の現場においてもDX推進の波が押し寄せている。本稿では、Society 5.0時代に向けた高等教育におけるDXを、DX推進とDXを支える人材育成の両面から議論したい。コロナ対策の一環として、否応なしに遠隔授業を取り入れざるを得ない状況に至り、2017年においては遠隔教育の実施経験がある大学は30%にも満たなかったものが、今や全国の高等教育機関において実施される状況となった。そもそも、MOOCsやLMSを用いた教育データ利活用により、世界における学びが大きな変革を遂げている中、我が国の高等教育も見直す必要があった。このコロナ対応としての遠隔授業の導入は、デジタル技術を活用した学びのメリット・デメリットを、全国の学生、教員及び職員が知ることを可能にした。コロナという不幸な出来事が起因ではあるが、これがひとつのきっかけとなって、これまでの遅れを取り戻すように高等教育におけるDXが進んでいく公算は大きい。デジタル技術活用への心理的ハードルが下がった今、まさに高等教育関係者、とりわけ大学経営層の方々が行動を起こすべき時、チャンスが来ていると言える。●DXの罠と本質DXを論ずるとき、往々にしてその議論を「デジタルの活用」自体を対象にしがちであるが、図1に示す通り、実はそのようなアプローチをとると教育の価値向上につながらない場合が多い。それはなぜなのか、あえて語弊を恐れずに申し上げれば、「DXはデジタルの話がその中心にあるわけではないから」だと考えている。勿論、デジタルにより教育の現場で何ができるのかをよく知る必要はあるが、それと同時にDXでどのような理想を我々は手に入れたいのかを言語化することが求められる。そこで立ち返りたいのが「学修者本位の教育への転換」を掲げた「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン答申」である。デジタル技術を使って何を実現させたいのか、まずは目的を明確にすることから始めることこそがDXの本質なのである。●財政的な支援-Plus-DX文部科学省は、昨年度DXを進めるための最低限の環境を整えるべく、コロナ対応のための遠隔授業関係整備へ100億円の支援を行った。これに加え「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン(Plus-DX)」により、これまでやりたくても困難だったデジタル技術を活用した「学修者本位の教育」と「学びの質の向上」の実現に向けた環境整備はじめに高等教育DXの本質と対応コロナはDXを加速高等教育はDXをどう捉えるべきか第2特集 DXによる新たな価値創出服部 正文部科学省 高等教育局専門教育課 企画官

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