カレッジマネジメント230号
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45リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021に60億円を投資した。申請に当たっては、各機関が策定する「DX推進計画」において、目標・課題の設定と現状分析を記述することを求め、デジタル技術の活用自体が目的化しないことを促した。今後、様々な場を通じて、支援を行った大学等の取組をご紹介していきたいと考えている。●コミュニティ形成への支援-スキームD従来の文部科学省のビジネスモデルは、大学等が考えた提案に財源を支援するという形で進められてきた。一方、図1に示す通りDXはおよそ大学等だけで完結できるものではなく、教室外の企業や投資家といったプレーヤーを巻き込むことが不可欠だ。また、イノベーションは「個」から始まるものであり、従来のビジネスモデルのように「組織」に対する支援だけでは、新しいイノベーションの種は日の目を見ることなく埋もれていくことになる。こういった課題意識から、文部科学省は、新たなビジネスモデルとして、教室外のプレーヤーを巻き込み、「個」のアイデアを「組織(≒大学等の経営層、企業、投資家等)」につなぐコミュニティ形成を支援する「高等教育のデジタライゼーション・イニシアティブ(スキームD)」を始動させた。この施策は、ピッチイベント・メンタリングとコミュニティの形成を通じて、新たな高等教育に挑戦するイノベーターを応援するプロジェクトで、今年2月にピッチイベントにおいて自らのアイデアを発表した10件の中には、スキームDの支援を通じて協力者を見つけ、次の段階に進んでいるプロジェクトも出てきている。毎年、新しいアイデアを持ったうえで、その実現に向けて協力者を求める教員、企業の方、学生等を募集し、様々な支援を提供していく予定である。ぜひ、経営層をはじめとする本誌の読者の皆様にも、まずはこの施策に注目することから始めて頂き、高等教育DXのコミュニティが広がっていく様子を実感して頂き、自らの大学の競争力・魅力の向上に利用して頂ければ幸いである。●帰納的アプローチへの備え-標準化もう一つDX推進において忘れてはならない視点は、大量の教育用データを活用した帰納的アプローチへ備えておくことである。学内におけるデータの各部局間での相互運用性はもちろんであるが、大学間など組織間の連携や比較による教育の高度化を考慮すると、教育データの標準化に関する対応を考慮に入れていく必要がある。現状、初等中等第2特集●DXによる新たな価値創出図1 DX推進の誤ったアプローチ例理想像(価値)現状DXを意識意識手段が目的に理想像設定手段を詰めギャップ分析ますます没頭し技術価値を見極めず投資・実行やってみるかほかの先生も デジタル技術を使っているみたい大学から DXで何かやるぞと言われているあのシステムを入れてみようあのシステム評判がいいみたい使い方を勉強しないと導入はいくらかかるのかな自分の講義ではこの機能を追加しないとあの評判がいいシステムならいいだろうやっとシステムが導入できたぞあれ?学生の成績は変わらないなでも、何をやろうかな企業投資家執行部教室外から参画

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