カレッジマネジメント230号
47/88

47リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021ベルに加え、応用基礎レベルも開始される。受験生や企業へのアピールとして、この制度をぜひ自校のブランド価値向上に利用して頂きたい。特に、データサイエンス・AIというキーワードとあまり関わりがなかったと思われる私立文系の大学の応募を期待している。●数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムMDASH認定制度と対をなす施策が「数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアム」である。このコンソーシアムは、6つの国立大学を拠点校として、カリキュラム、教材、データベースを共同で構築し、地域ブロック活動を通じて全国の国公私立大学へ普及、展開しており、わずか6校で始まった活動は、今や120校もの大学・高専が参画する大きなものに成長している。ここで構築されたカリキュラム、教材、データベースは、ホームページで公開、教科書については出版されており、大規模な普及、展開が進むような手法をとりながら活動を進めている。今後MDASH認定に挑戦したい大学は、ぜひこのコンソーシアムにご参画頂き、会員とのコミュニケーションをとりながら認定教育プログラムの編成にお役立て頂きたい。●大学入学共通テストへの「情報」の追加さらに忘れてはならないのは、新学習指導要領を踏まえ、2025年(令和7年)1月からの大学入学共通テストの科目に「情報」が追加される。各大学の入試にこれを活用するかについては、2年程度前には予告、公表されることになっているため、来年度には各大学の方針が出てくる。各大学におけるディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、アドミッション・ポリシーを冒頭述べたような社会情勢認識を踏まえたものとし、各大学がどのような教育を目指していくのか、高校生にしっかりと発信して頂くことを強く期待している。DX推進もデータサイエンス・AI教育も、資金や人員の投資が必要であり、経営者がその決断に至るにはそれなりの強い動機が必要である。DXという言葉を経営者の皆様が受け取ったとしても、なんとなく実感がわかないという方も多くいらっしゃると思う。そこでご提案したいのは、DXを財務諸表のPL的な発想で捉えてみることである。DXにより収入増(学生数、寄付金等)や費用減(教員数を維持したうえでの教育の質向上、人件費等)をどのように実現していくのか、リスクにどのように備えていくかと考えてみるのである(図3)。特に、「5年先、10年先の自学の学生の就職先がどうなるか」を想像し、DXをぜひ自分事として捉えて頂きたい。これまで多くの卒業生を送り出してきた業界や職種が縮小、消滅する可能性はないか、少子化やジョブ型採用の拡大といったリスクに備えることができているのか、そのような視点で考えてみて頂きたい。未来を変えるのであれば、経営方針を変えることが必要で、新たな業界、企業へ人材を送り出す教育機関としてどんな学修者本位の学びに投資するのか、経営戦略が今こそ問われている。経営者にとって自分事なDXを第2特集●DXによる新たな価値創出図3 今後の高等教育機関経営における考え方(概略)●学生数増加(留学生?社会人?高齢者?)●寄付金増加●学生数維持(卒業者の高評価・活躍)収入●教員数維持&教育の質向上●人件費抑制&事務効率の向上●ランニングコスト低減費用●少子化●ジョブ型採用の拡大:変化が激しい教育ニーズ●MOOCsや新興国の大学の対抗リスク

元のページ  ../index.html#47

このブックを見る