カレッジマネジメント230号
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51リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021で「読むこと」「書くこと」を加えて4技能5領域化した教科として英語を学んでいく。中学校段階では授業単位時間は現行と同等ながら、図に示すように、対話等のコミュニケーションや活用に重きを置いた教育が展開される。高校ではディベートやディスカッションレベルにまで英語力を高めることが明示されている。これらは図1・2で見る社会ニーズに対応している内容だといえるだろう。社会と中等教育の間にある高等教育段階で、こうした総合的な英語力育成にドライブをかけられるか、ストップしてしまうかは、高大社接続観点で極めて重要なのである。能とは、「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の4つ。5領域とは、「話すこと」を「話すこと[やり取り]」と「話すこと[発表]」に分け、ほか3技能と合わせて整理したものだ。この5領域を総合的に育成するため、英語教育は前倒し・拡充でデザインされている。具体的には、小学校3・4年生段階で教科ではなく、「英語に親しむこと」を目的にした「外国語活動」の枠内で、「聞くこと」「話すこと[やり取り]」「話すこと[発表]」の3つの領域にフォーカスし、音声面を中心として学ぶ。「教科」ではないため検定教科書は存在せず、成績もつかない。授業内容は学校や自治体ごとに決定できるが、語彙に関しては、小学3~6年生までの授業を通じて600~700単語程度を習得するよう目標が設けられている。そして、5・6年生「入試は社会へのメッセージ」は、社会との接続を前提にした教育改革を展開している高等教育機関の入試において、入試・大学教育・社会を一貫してつなぐ設計をされているものを事例としてご紹介し、その前段で事例の理解を深めるために、関係するテーマを編集部が解説する企画である。初回はグローバル化における英語力の必要性を中心テーマに、立教大学の教育改革と入試改革の経緯と成果を取り上げたい。図3 外国語教育の抜本的強化のイメージ・5領域を総合的に扱う科目群の設定 (英語コミュニケーションⅠ、Ⅱ、Ⅲ)・ディベート・ディスカッションを通して発信力を高める科目群の設定(論理・表現Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)・授業は外国語で行うことを基本(前回改訂より)高等学校英検準2級程度以上の生徒39.3% (目標50%)高等学校年間140単位時間(週4コマ程度)英検3級程度以上の生徒40.7% (目標50%)中学校年間35単位時間(週1コマ程度)※教科ではなく「活動」小学校年間140単位時間(週4コマ程度)・外国語で自分自身の考えや気持ちを伝え合う 対話的な活動を重視・具体的な課題を設定するなどして、学習した語彙・表現などを実際に活用する言語活動を充実・授業は外国語で行うことを基本中学校5・6年(教科)・年間70単位時間(週2コマ程度)・段階的に「読むこと」「書くこと」を加える3・4年(活動)・年間35単位時間(週1コマ程度)・「聞くこと」「話すこと(やり取り・発表)」を中心・外国語に慣れ親しませ、学習への動機付けを高める小学校今後の方向性:「何ができるようになるか」という観点からCEFRを参考に、小・中・高を通じた5つの領域別の目標を設定※5つの領域:「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり・発表)」 「書くこと」現状の課題:・学年が上がるにつれ意欲に課題・学校種間の接続が不十分高校卒業レベル現:3000語新:4000~5000語中学校で現:1200語新:1600~1800語高校で現:1800語新:1800~2500語小学校で新:600~700語A1A2B1B2CEFR※CEFR:欧州評議会が示す、外国語の学習や教授等のためのヨーロッパ共通参照枠※文部科学省 学習指導要領参考資料集P.1より抜粋・編集部にて作成

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