64リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021神奈川大学の歴史は、1928年、創立者である米田吉盛が、横浜で働く勤労青年の旺盛な勉学意欲に応えるため桜木町に横浜学院を創立したことに始まる。8学部・8研究科を擁する総合大学へと発展した本学は、2017年度に創立100周年(2028年)に向けた将来構想実行計画を策定、重点事業の一つとしてみなとみらいキャンパス開設が計画され、2021年4月、横浜(六角橋)、湘南ひらつかに続く新たなキャンパスが、創立の地に近い横浜みなとみらい地区に誕生した。2023年には理学部が湘南ひらつかキャンパスから横浜キャンパスへ移転予定であり、附属中・高等学校のある中山キャンパスを含め、全てのキャンパスを横浜に集約する。 みなとみらいキャンパスは『国際・日本』の融合した未来『創造・交流』キャンパスをコンセプトとしている。国際的にビジネスを展開する企業や国際機関、官公庁、文化施設、会議場等が多く集まるみなとみらい地区の特性を活かし、「街全体がキャンパス」という考えのもと、地域や企業との連携を図り、時には教室や研究室を出て、学びや交流を深めていく。キャンパスにはグローバル教育に重点を置く「経営学部」「外国語学部」「国際日本学部」の3学部が集結、約5,000人の学生が学び、グローバルかつダイバーシティを実現するアカデミックなキャンパスとして、新たな時代にふさわしいグローバル人材の育成を目指す。3階までの低層階を、あらゆる人と知の交流を通じ、社会や文化の壁を越えたつながりの形成を推進する「ソーシャルコモンズ」と位置づけ、社会連携センターやグローバルラウンジ、観光ラウンジ、カフェ等を配した。壁で区切らず開放的な空間とすることで、各機能が有機的に連携する仕組みを提供、シームレスな活動を目指している。1階から3階図書館までの吹抜空間(ナレッジコア)には多くの図書を配架、多機能で立体的な「知の賑わい」空間とした。中層階の各階には学生が自由に学習できる「ラーニングコモンズ」が配置され、空き時間や放課後には本やPCを広げる学生の姿が多く見られる。また演習室の多くはガラス張りで、階を隔てて活動の様子が自然と目に入る。全学部の教員が利用するラウンジも設けられ、オープンな対話、交流をきっかけに、新しい発見や連携、研究を創出する場が各所に設けられている。高層階には3層を1ユニットとしてつなぎ、階段部分を座席としプレゼン等を行える「プレゼンフィールド」を設けた。都市型キャンパスでありながら、自然を多く取り入れたことも特徴の一つである。1階広場から7階までの各階に丘のように広がるテラスは、ビルに囲まれた地域の中で学生たちの憩いの場となっている。その他、二酸化炭素を排出しない水力発電電力「アクア de パワーかながわ」の導入や、階段ホール棟の屋上部分を利用した太陽光パネルの設置、学食の天井に段ボールを利用したダクトを使用する等、キャンパス全体で環境への配慮やSDGsへの取り組みを行っている。新型コロナ感染拡大防止措置を強化したうえで、2021年前学期は対面、オンライン、両者を組み合わせたハイフレックス型の授業を行った。一般への施設開放は一部制限されているが、今後の状況を見ながら対応していく予定である。前述のように、キャンパスには多様な学生のアクティビティを誘発する様々な場を設けている。学生たちが地域や社会に溶け込み、街全体をキャンパスとするダイナミックな取り組みを期待するとともに、自ら学び、考え、成長していくために最高の教育と環境を大学として提供し続けていきたい。(文/学校法人神奈川大学 事務局長明比 卓)みなとみらい全体を「学びの場」に今後の展望キャンパスの特長みなとみらいキャンパス開設の背景
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