カレッジマネジメント230号
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7リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021今、社会課題解決が求められる理由――今、企業経営において、社会課題の解決が求められていると思います。その背景としてはどのようなことがあるのでしょうか。顧客市場、人財市場、金融市場の3つの市場に分けてその理由が挙げられます。顧客市場、特にBtoCの市場においてはエシカル消費やソーシャルグッドといった、社会に良い影響を与えるサービスや地球に優しい商品を大事にしようという顧客の思いが高まっています(図1)。日本は、ヨーロッパやアメリカ、中国、インド等に比べてやや遅れてはいますが、それでもエシカル消費の市場はこの3年間で倍増しています。一方、BtoB市場においても、社会や地球に悪影響を及ぼす会社は、そもそもサプライヤーになれません。社会への影響に配慮していない企業は市場から排除され、どんどん置いていかれるようになっているという現状があります。次に、人材市場において言えば、企業は当然ながら前向きで優秀な人材を採用したいわけですが、今やそういった学生はデジタル・ネイティブであり、サステナビリティ・ネイティブでもあります。優秀な学生から志望される企業となるという意味においても、社会価値が提供されているかということは重要なポイントになってきます。また、金融市場においては、投資や融資を受ける際にESG(Environment Social Governance)というのは既に不可欠のキーワードです。経営において環境や社会に配慮した観点を持たない企業は、投資や融資の対象から外れ、結果として資金が回らなくなる。この3つの市場から、社会課題の解決というのはもはやナイス・トゥ・ハブではなく、マスト・ハブになっているわけです。しかし、企業は、社会的価値を高めつつ経済的価値も高めるCSV(Creating Shared Value)経営を目指す必要があります(図2)。今、日本においては、サステナビリティーを重視することに全体の雰囲気が流れていますが、企業は必ずしもその観点だけで顧客から選ばれるわけではありません。ただ単に、社会課題解決に取り組むだけなのであれば、営利を目的にしないNGOやNPOの社会貢献活動と同じです。社会課題に向き合いながらも、いかにしてその会社ならではの企業価値を生み出すのかということが非常に重要だと言えます。――大学においても、社会課題を解き社会的価値を高めることがより求められているように思います。一方、利益の創出を追求する企業とは大学の位置づけは異なりますが、18歳人口が減少し入学者が減少するなかで、経営上の舵取りも大切だと思います。CSV経営の考え方が大学にも求められると言えるのでしょうか。第1特集●大学ブランド 未来の指標図1 エシカル消費への関心35.964.159.140.9(%)2016年度2019年度※消費者庁「エシカル消費に関する消費者意識調査」(令和2年8月)より非常に興味があるある程度興味があるあまり興味がない全く興味がないESG後進国日本でも、エシカル消費への関心が急増中

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