イメージ項目別ランキング関東70リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021「外国語」が前年比で減少しているほか、「美術・デザイン」「体育・スポーツ」「教育・保育」といった実習を必須とする分野が単年度で減少していることが分かる。もう1つは、進学先検討で重視する項目である(図表3)。「校風や雰囲気が良い」「学生生活が楽しめる」といったキャンパスライフに関する項目、「交通の便がよい」「自宅から通える」といった通学に関する項目が減少している。大学に通学できていない先輩の姿に加え、コロナ禍でオープンキャンパスに参加できなかったことも影響しているように思われる。続いて、大学入学共通テストへの不安解消である。昨年は、大学入学共通テストの初年度で、英語4技能や記述式への対応や入試会場における感染防止対策等、受験生にとっては不安が多かったが、大きな混乱がなく実施され、その不安が解消されたようだ。東名阪ともに、ランキング上位の国立大学の志願度が軒並み上昇しているが、こうした背景があるのではないかと感じている。最後は、定員厳格化の落ち着きである。2016年から始まった定員厳格化によって、大規模私立大学の難化が進み、高校現場では従来の偏差値が全くあてにならないとの混乱が生じた。志願度においては、大規模総合大学のスコアが年々減少し、中堅大学のスコアが上昇し、受験生の志向は「超安全志向」とまで言われた。しかし、昨年度には、大規模大学において収容定員の厳格化への対応がほぼ完了した。先輩の合格状況を見ての影響なのか、大規模総合大学の志願度スコアが軒並み上昇。いわゆる「超安全志向」に変化が見られた。上記の3つの傾向から、各エリアで国立大学や大規模総合大学の志願度が上昇している。これはオープンキャンパスへの参加が制限される等、高校2年生までにしっかりとした進路検討機会が持てなかったことから、現時点では単に知名度の高い国立大学や有名大学を受験したいと考えているとも推察される。そのため、今後進路検討が進んだ場合には、志願したい大学に変化が現れる可能性があるのでないかと考えられる。図表4 コロナ禍における今春入試の振り返り図表5 ブランド力調査から見える今年の受験生の傾向・高校生のオープンキャンパスへの参加率、参加校数がコロナ禍以前より減少。・休校により、高校での進路指導の機会も減少。進路選択機会の減少1・年内入試受験者の増加や進路選択機会の減少により、一般選抜の出願件数が減少。・進路選択活動が進まなかったため、併願校は有名大学、地元の知っている大学の中から選択する傾向に出願件数の減少3・特に大都市圏での感染拡大により地域間移動を避けた結果、これまでとは異なる形による地元進学者が増加。コロナ禍の影響による結果としての地元進学者数の増加4進路選択活動に対する満足度の低下・コロナ禍の制約により十分な進学先検討ができていないため、進路選択活動全般に対する満足度が低下している。5現高校3年生は1年以上続くコロナ禍の影響をより強く受けている可能性がある収束しないコロナウイルス流行による進路選択意識の変化(分野、重視項目への影響)2年生から進路選択行動が制限、コロナ禍により関連分野への進路希望に影響1大学入学共通テスト初年度の不安解消大学入学共通テスト導入元年は、想定以上の大きな変更・混乱なく実施2大規模大学における定員厳格化への対応完了による超安全志向の変化昨年度には大規模大学において収容定員の厳格化への対応がほぼ完了3・現在の高校3年生は、コロナ禍の影響で2年生から十分な進路選択活動ができていない・そのため、知っている大学の中から進学先を選ぶ傾向が、昨年より高まっている・さらに、大学入学共通テストへの不安解消、定員厳格化の落ち着きから、国立大学や有名私大の志願度が高まる結果に年内入試受験者の増加・コロナ禍の一般選抜、大学入学共通テストに対する不安から、年内入試へのシフトが生じた。2
元のページ ../index.html#70