8リクルート カレッジマネジメント230 │ Oct. - Dec. 2021大学にCSVの経営モデルをそのまま入れる必要はないと思います。それよりもCSVの考え方ができる人材を社会に輩出することが大学の存在意義だと思います。そこを取り違えると、大学の営利化に走ってしまい、大学に求められているものから外れてしまう可能性もあるでしょう。ただし、大学もCSVの根本的な考え方を理解することは必要でしょう。大学がしっかり考えるべきなのは、需要と供給を理解し、その間を結ぶということ。需要側にある企業、供給側にある学生、その両方に対して対象に価値を提供するということが大学経営に求められていると思います。企業、学生どちらからも求められなくなったら、大学の存在意義はなくなります。「社会実装化」は大学の存在価値――では、大学は今後どのように社会課題に向き合っていくべきなのでしょうか? 世の中には非常に多くの社会課題がありますが、社会課題の多くは放置されている状態です。企業がその解決をするためには、お金が回る仕組みを作るとか、市場を作るといったことが求められますが、いきなり手掛けようとしても、儲けることはできないので放置されているのです。しかし、企業のように営利の追求を目指さない大学であれば、イノベーションを創出し、社会実装化をすることができる。そこに数多くの大学の居場所があると思います。特に地方の大学は、その地域のハブになるということが求められると思います。大学が自然科学や社会科学によるイノベーションを生み出し、サイエンスベース、エビデンスベースで研究の成果を示し、社会実装のところまで関わる。プルーフ・オブ・コンセプト(概念実証)の段階だけではなくて、地域で実装するというところまでやっていければ、今まだ実現できていないスマートシティやスマートビレッジ等も大学を中心に成り立っていくのではないでしょうか。そういった地方創生に大学が入っていくことが求められていると思います。創業の志の本質を純粋化・再定義し、過去形にしない努力が必要。図2 CSVの3つのレバー3. 地域生態系の構築(利益至上主義)強強社会価値経済価値弱弱**Pure Pursuit of Prot2. バリューチェーン全体の生産性の改善1. 次世代製品・サービスの創造CSV経営は右上のボックスで、本業を通じて社会価値も経済価値も強くするもの。従来型の資本主義は右下のボックスに入る。純粋に利益だけを追求し、経済価値は強いが社会価値は弱い。
元のページ ../index.html#8