カレッジマネジメント231号
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24リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022によると、2020年度卒の学生が、自分が登録した授業の8割以上に出席した割合は84.7%に上った。この数値は年々上昇しているという。また、文部科学省が国立教育政策研究所と共同で行った2019年度「全国学生調査」によると、授業期間中の1週間の授業への出席時間は平均17時間、予習・復習・課題等授業に関する学習が平均6時間、授業以外の学習が平均5時間となっている。これに対して、部活動・サークル活動が平均4時間、アルバイトが平均11時間となっており、このデータからも今の学生の生活が学業中心となっていることが分かる。「その結果、学生の学業における考え方や行動が明らかに変容してきています。1コマ90分の時間をどのように過ごすのかというところに、学生の考え方や価値観による違いが表れるようになっているのです。例えば、『アルバイトの時間を確保したいから、授業中にしっかり知識を身につけよう』と考える学生もいれば、『どうせ出席しなければいけないのなら、この授業を通してこんな力を伸ばそう』とスキルアップへの目的意識を持って授業に臨む学生もいます。履修科目の選択にしても同様のことがいえます。出席しなくても単位が取れる楽な科目という選択肢がなくなって、では、何を基準に選ぶようになっているかというと、『自分が興味のある科目を取ろう』と考える学生もいれば、『高いGPAが取りやすい科目を選ぼう』と考える学生も、あるいは出席の効率を考えて『3限と4限に授業を集中させよう』と考える学生もいます。つまり、授業中の行動や科目選択が、企業にとっても、学生の特徴を知るうえでの材料として大きな意味を持つようになってきたということです」。また、サークル活動等は好きだからやっていることだが、今や学生にとって、授業に出席することは必須であり、学業は好きであろうとなかろうと「やらなくてはいけないこと」になっていることも重要なポイントだ。なぜなら、社会に出て働くことになれば、好き嫌いに拘わらず「やらなくてはいけないこと」をどのように意味づけ、どのように取り組むかは重要なことであり、採用にあたって企業が重視している要素でもあるからだ。「加えて、履修履歴に基づく面接では、その学生がどんな科目を履修したか、その成績がどうだったかということが資料として手元にありますから、ファクトベースの面接が進めやすい。例えば『ITに興味があります』という学生がい学生の学業行動に個性が反映されるようになった履修履歴に基づく面接は企業にとってもメリットが目的に向けて行動知的好奇心、学びへの期待責任感、当事者意識負けず嫌い地頭の良さ継続的努力エネルギーレベルもったいない・無駄にしたくない共通の資質サボり癖がないOROROROROROROR『日本のGPAトップの大学生たちはなぜ就活で楽勝できるのか?』(辻太一朗・曽和利光・著/星海社親書)より編集部にて作成図表2 GPA上位5%の学生

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