26リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022「将来の社会を担って立つ人材の育成」という建学の精神のもと、長期や複数回の就業体験を含んだ学修プログラムを企業や行政と連携して開発。日本型「コーオプ教育(Cooperative Education)」として長らく取り組んできた京都産業大学(以下、京産大)。「大学での学び」と「社会での実践」を段階的に積み重ねて社会で活躍できる人材の育成を目指すこの取り組みは、文部科学省「現代GP」を皮切りに継続して文部科学省や経済産業省の事業にも採択されている。その現状と成果について、黒坂 光学長、植原行洋キャリア教育センター長、キャリア教育センター・松本翔伍氏に伺った。京産大がコーオプ教育を開始したのは1998年度。「教育としてキャリアを考えるというところにいち早く踏み込んだ大学ではないか」と黒坂学長は自負する。「教育としてキャリアを学ぶ」を体現しているのが、綿密に構成されたカリキュラムと、大学の組織体制だ。社会を生き抜く力の育成を目指し、学年を追って「大学での学び」と「社会での実践」を段階的に積み重ねていけるよう体系立てられた「キャリア形成支援プログラム」を教養教育として全学生を対象に開講。背景にある考え方を「教室の中と社会の現場はつながっているようで連続性がない。座学での学びをもとにして、企業や行政の現場に長期または複数回入って現場の意見や実態を知り、その経験を座学に戻り活用することを繰り返して理論知を実践知まで高め、生きた教育をするのが本学の考え方」と黒坂学長は説明する。そして、このプログラムを担う組織として「キャリア教育センター」が、進路指導や就職支援を担う「進路・就職支援センター」とは別に、共通教育を担う組織群の中に設けられている。インターンシップの機会提供にとどまらず、日頃の学修と関連づけた教育を実践している点に、京産大の強みがある。その流れを詳しく見ていきたい。キャリア形成支援プログラムでは、大きく次の段階を踏んでキャリア観や社会を生き抜く力を育んでいく(図参照)。●1年次:導入・接続教育科目群(3科目)にて、自分自身や社会について知り、大学生活の過ごし方を考える。●1・2年次〜:産学協働教育科目群(全14科目56クラス)に移行。キャリアデザイン系科目では自分自身を知り、将来の職業やキャリアについて考える。PBL系科目では企業や行政からの課題にチームで取り組み、社会とのつながりや働くイメージを実感する。そして、インターンシップ系科目で個別の企業・行政の現場に入る。各インターンシッププログラムは、5日以上のものが産学協働で開発されている。全て選択科目だが、1年次春学期の「自己発見と大学生活」においては、学年の3分の2に当たる1900名程度が受講できるよう設計されている。その後、秋学期に「O/OCF-PBL1」、2年次に「O/OCF-PBL2」、3年次に「インターンシップ3」(国内企業でのインターンシップ)を履修するのが建学の精神を体現するべく設計されたコーオプ教育4年間をかけて、段階的に社会を生き抜く力を育成する黒坂 光 学長キャリア教育センター長植原行洋 氏キャリア教育センター松本翔伍 氏京都産業大学「大学での学び」と「社会での実践」を段階的に積み重ね社会で活躍できる人材を育成するCase Studies_1大学での学びを社会での就業につなげる大学事例大学が主体となって「働く」への接続をリードする3つの事例をご紹介する。
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