28リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022建学の精神「實地應用ノ素ヲ養フ」のもと、学びと実践の接合を考えたカリキュラムを各学部で展開している中央大学(以下、中大)。正規科目としてインターンシップを実施しているのもその一つだ。加えて、2011年度より、学生が大学での学修や諸活動をコンピテンシー(行動特性)レベルの目標設定と自己評価によってセルフマネジメントするツール「C-compass」を全学に展開し、学修成果の可視化にも取り組んできた。これらの取り組みと今後の展開について、河合 久学長、佐藤信行副学長、キャリアセンターの北田 圭副課長に伺った。中大のキャリア形成支援の取り組みの根底には、「キャリア形成は教育そのもの」との考えがある。河合学長は、「キャリア形成支援は高等教育機関の重要な使命の一つです。本学では、まず正課授業の場を中心にキャリア形成支援を展開し、学年が上がるにつれて段階的にキャリアセンターによる就職支援に結びつけていきます」と話す。そして、キャリアに関する全ての教育活動の起点となっているのが、全学DP(ディプロマ・ポリシー)の1つ「生涯にわたり主体性をもって学びを継続できる」だ。「今後も社会構造が変化することが予測されるなかでは、現時点の社会構造を前提とした専門教育だけでなく、語学や多文化理解等のリベラルアーツや学外活動等で培われる実践の力を育むことが重要。学生はこれらを正課授業で身につけるとともに、インターンシップ等の諸活動をも通じて、自ら学び続ける力をつけることが必要だと考え、かなり早い段階でDPに組み込んだ」と佐藤副学長は説明する。実践の機会として中大が用意している仕組みは多彩だ。まずインターンシップは、単位認定のある正課として各学部が運営する「アカデミック・インターンシップ」と、単位認定なしの就業体験としてキャリアセンターが運営する「キャリアデザイン・インターンシップ」がある。「前者はアカデミアで学んだ理論が現実社会にどのように実装されているかを学ぶための教育プログラムであり、後者は実社会での経験値を積む就業支援というすみ分けです」と北田氏は言う。加えて特徴的なのが、「学びを継続している卒業生が、後輩学生を教える」という仕組みを多彩に持っていることだ。授業にゲストスピーカーとして招聘する、研究成果報告会に招いて感想をフィードバックしてもらう、実務家としてゼミを担当してもらう等、様々な形で卒業生に教育プログラムに入ってもらい、学生が実社会を意識できる機会を作り、利用を推奨している。一方、「C-compass」を用いた学修成果の可視化の取り組みは、10年以上にのぼる。大学による成績評価とは別の仕組みとして、正課授業や正課外の活動等において、学生自身が31のコンピテンシー項目をふまえて目標設定と計画立案を行い、進捗を確認・評価するツールで、このPDCAサイクルを半年単位で回してセルフマネジメントを行うことが、学び続ける力の育成にもつながっている(図1・2)。もともとは理工学部が学部の学修成果を測るキャリア形成は教育そのもの正課授業も含めてキャリア形成を支援する行動特性を学生が自己評価し、学修成果を可視化河合 久 学長佐藤信行 副学長学びと実践を接合する様々な仕組み・仕掛けで学生一人ひとりのキャリア形成を支援中央大学FOREST GATEWAY CHUO外観内観大学での学びを社会での就業につなげる大学事例Case Studies_2
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