31リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022ら4年を経た19年度時点で参加企業136社(自治体・経済団体等を除く)への就職率が12ポイント増加という好結果が得られている。岡学長は「年間約40名のYFLプログラム修了学生に限らず、YFL育成プログラムの一部の科目やJobフェアに参加した学生も含めて、私たちが用意した様々な機会に触れて地元企業や地域貢献に対する意識が高まり、興味がわいてくるという効果があった」と評価する。地元自治体・企業との協働事業を推進するには、参画企業集めや信頼関係の構築が不可欠だが、本事業においては、岡学長をはじめ、COC+の専任組織のリーダーに招聘した元山口県産業技術センター理事長、COC+担当の副学長が企業を訪問し、当初20〜30程度だった事業協働機関を最終的に165まで拡大させた。そして、信頼関係の構築・連携強化に重要なのは「やはり人間関係だ」と話す。「連携会議も行っていましたが、いちばんは1社1社と直接コミュニケーションを取ること。トップによる訪問はもちろん、COC+の担当職員が5年間、各事業協働機関に毎月コンタクトを取り続け、1つでも多く本気で取り組んでしっかりと応える。その積み重ねで『山大は本気で地元を考えてくれている』と思われてきているのかなと思います」(岡学長)2019年度をもってCOC+は終了したが、活動の継続体制も着々と整えている。1つは、山口県が事務局を務める「大学リーグやまぐち」。県内の高等教育機関の連携を深め、行政や産業界ともネットワークを形成して若者の定着促進や高等教育機関の地域貢献力の向上による地域社会の発展を目指しており、山口大学は県内定着促進を主管する大学としてJobフェアの継続と、小規模版の「ミニJobフェア」の県内各地域での開催等に取り組んでいる。また、山口大学が独自に取り組んでいるのが、21年から始めた「地域人材育成事業」だ。年会費20万円で、事業参加企業には学生食堂でその企業の紹介映像を流したり、学生と気軽に交流するサロンを開催するなど、学内での情報発信、交流の機会を提供。さらに、県内8社の経営者が「地方創生に邁進する山口大学を応援する経営者の会」を組織し、地方創生に取り組むための協力体制をつくっているという。そして、新たな取り組みとして、大学が所在する地域における「地域連携プラットフォーム(仮称)」の構築や、新山口駅に隣接する山口市産業交流拠点施設の利活用による各種団体との協働など、22年度から開始できるよう準備を進めている。「学外に出て行くことで産学官連携をさらに強め、大学の必要性を地域の皆さんに一層認識していただくことに努めていく。そして、地域の企業も含めてこれからの教育や研究、産業のあり方を議論し、成功例を出していきたい」と岡学長は意気込む。「学ぶ」と「働く」をどうつないでいくのか、今後の展開に注目したい。(文/浅田夕香)COC+終了後も取り組みを継続・進化させる体制を構築やまぐち未来創生リーダー(YFL)育成プログラム200番科目(2年次)基幹科目300番科目(3年次)PBI科目やまぐちスピリット地域行政・経済・歴史を理解し活用できるカ1グローカルマインドグローカルな視点で何事にも誠実に取り組むカ2イノベーション創出力各種情報を活用してイノベーションを起こすカ3協働力コミュニケーションを保ちながら協働できるカ4課題発見・解決力自ら率先して課題を発見し解決できるカ5挑戦・実践力専門知識を活かしてチャレンジできるカ6やまぐち地域を創生する6つの力を強化県内各地域での合同合宿型フィールドワーク地域で生き抜くための実践的なスキルを習得課題解決型の実践的なインターシップ(PBl:Project Based Internship)2年1年3年地元銀行、企業、 自治体等での課題検討地元住民、高校生、起業家、企業・団体職員とのワークショップ県知事、地元企業・銀行のトップ(社長)等による講義100番科目(1年次)コア科目・実践導入科目School to Workこれからの就職を俯瞰する第1特集
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