カレッジマネジメント231号
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35リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022入学試験で選別された皆が18歳の均質的な入学者に対し、4年での卒業を前提に学年別に設計されたカリキュラムのもと教育を施し、一斉に卒業させ、新卒での就職を促す…そんな日本の大学の当たり前の姿は、世界の当たり前ではない。そして、18歳人口の縮小、社会の不確実性の拡大、さらにはメンバーシップ型雇用からの転換の可能性を考え合わせると、持続的なあり方とも、決して言えはしないだろう。こうした問題意識から、中教審「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」においても、<「18歳で入学してくる学生を中心とした教育体制(18歳中心主義)」から脱却>し、<「多様な学生」を受け入れることのできる体制の整備>が必要だとされた。とはいえ、今の多くの大学のあり方とはあまりに異なっているこの「大学の多様性」を、どのようにすれば実現できるのか。実は日本にも、この「学生の多様性」を既に実現している学校群がある。通信制大学である。意欲さえあるならば学力による選別は行わずにオープンに迎え入れ、厳密な出口管理によって学生一人ひとり異なる期間で卒業させていくその姿は、むしろ欧米の大学のあり方に近い。通信制大学のあり方には、大学全体が参考とすべきヒントが詰まっているのではないか。この第2特集は、そうした問題意識から企画した。学生全体の1/10近くが「通って」いるにもかかわらず、なかなか言及されることは少ない通信制大学。これからの大学のあり方を考える際、ぜひ、その参考にしていただきたい。

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