カレッジマネジメント231号
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39リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022の減少への対応です。既に120万人を切っている18歳人口は、2040年には90万人弱まで減少すると推計されています。メインの大学志望者の母集団が小さくなっているわけですから、大学が生き残るためには、門戸を広げて、社会人をはじめとする多様な学生を迎え入れていくことが欠かせなくなるでしょう。しかし、最初の話に戻りますが、門戸を広げるだけではうまくいかないのです。多様な学生が一時的に入ってきたとしても、出口管理がなく教育の質が保証されなければ、いずれ社会から、存在価値がないとみなされます。大切なことは、学生の多様性をただ実現することではなく、多様性をいかに教育的に意味あるものにつなげるかです。仮に学生の3分の1が社会人学生となり、年齢層が幅広くなったとしても、大教室の授業で講義を聴くだけなら、多様な学生がいることの効果はほとんどありません。教員やティーチング・アシスタント(以下、TA)、及び多様な学生が、双方向のやり取りを通して、互いに影響し合い、新しい知を創造するような学びを形づくる、ということが重要であり、それが出口管理の一歩目となるのです。オンラインを活用した授業も同様で、この点でも通信制大学の取り組みから学べることがあります。コロナ禍によって、通学制の大学でもオンライン授業が浸透しましたが、そのプラス面とマイナス面をどこまで把握しているでしょうか。また、この先オンライン授業をどのように発展させていくのか、ビジョンは描けているでしょうか。ご承知のように、オンライン授業には、オンデマンド配信型と、同時双方向型があります。オンデマンド配信型授業は、録画された授業を学生が好きなときに自分のペースで学べる利点があります。しかし、録画の配信だけで終わるなら「知識の伝達」に過ぎず、知の創造に繋がりません。授業を受けた学生が、自分でも学生の多様性をオンラインでどう活かすか(注)正規の課程のみ(資料)文部科学省「学校基本調査報告書」2019年度による(出所)公益財団法人 私立大学通信教育協会ホームページ「大学通信教育の現状」より通信制大学学生の年齢構成02040608010060歳以上50~59歳40~49歳30~39歳23~29歳18~22歳大学大学院(%)0.511.515.718.221.716.916.06.920.629.826.016.2多様な学生が一時的に入ってきたとしても、出口管理がなく教育の質が保証されなければ、いずれ社会から、存在価値がないとみなされる。通信制大学は、なぜ学生の多様性が実現できるのか?第2特集

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