カレッジマネジメント231号
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42リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 202218歳で高校から直接入学する学生がほとんどを占める一般的な通学制の大学と比べ、フルタイムで就業しながら学ぶことができる通信制大学は、「学生の多様性」を実現している。私は長年通信制大学・通信講座専門誌の編集に携わり多くの社会人学生を誌面に取り上げてきたが、彼ら彼女らが通信制大学を選んだ理由を、下記のように整理している。①時間的に拘束されず、就業時間と重ならない②通えるかどうかを気にせず、全国どこに住んでいても就学できる③学力による入学試験がない④通学制と比較すると学費が非常に安い⑤ライフステージの変化に合わせ、自分のペースで学びを進めることができるでは、どのような経緯で通信制大学はこのような特徴を持つようになったのか、またどのような制度がそれを支えているのか?文部科学省高等教育局専門教育課課長補佐大塚千尋氏に聞いた。「そもそも通信制大学という制度は、昭和22年制定の学校教育法において、特に大学教育を受ける機会に恵まれない、いわゆる『勤労学生』の方を対象に発足したものです。その後、昭和40年代以降は中高年層が、その後は高学歴者の入学が増えていった。教育の機会均等という役割とともに、様々なニーズに対応するリカレント教育の機会提供という役割が加わっていったのです(図1・図2)」(大塚氏)『勤労学生』は多くの場合昼間に就業しており、また自宅・職場から遠く離れた大学で学ぶことはできない。入学試験の準備に時間を割くことも難しく、学費負担にも限度「学生の多様性」はなぜ実現したのか通信制大学とはどんな制度なのか─これまでとこれから文/リクルート進学総研 主任研究員(社会人領域)乾 喜一郎図1 大学通信教育 年齢別在籍者数の割合(正規の課程) 図2 通信制大学入学者の最終学歴出典:中央教育審議会大学分科会質保証システム部会資料 (公財)私立大学通信教育協会 高橋陽一理事長説明資料出典:中央教育審議会大学分科会質保証システム部会資料 (公財)私立大学通信教育協会 高橋陽一理事長説明資料1979年度1980年度1981年度1982年度1983年度1984年度1985年度1986年度1987年度1988年度1989年度1990年度1991年度1992年度1993年度1994年度1995年度1996年度1997年度1998年度1999年度2000年度2001年度2002年度2003年度2004年度2005年度2006年度2007年度2008年度2009年度2010年度2011年度2012年度2013年度2014年度2015年度2016年度2017年度2018年度2019年度100%90%80%70%60%50%40%30%20%10%0%60歳以上50~59歳40~49歳30~39歳23~29歳18~22歳その他14.6%高校卒業 27.1%専門学校修了 13.0%短大卒業 12.2%大学卒業 33.1%リポート文部科学省 高等教育局専門教育課 課長補佐大塚 千尋 氏Report

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