カレッジマネジメント231号
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45リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022の対応となったこともあり、教育機関、また教員のあいだで体制やスキルの差が大きくなっています。授業の進め方のみならず、成績評価をどのように適正に行うか等様々な課題が出てきているのが実態です。情報技術をいかに活用していくかという点においても、通信制大学は長い実績を持ち、これまで試行錯誤を重ねてきた中で得られた知見を数多く持っていますので、教育の質の向上という意味で、現在は、それらを高等教育全体に還元していける大きなチャンスとも言えるのではないかと思います。既に通信制大学の側からは情報発信も始めていただいてはいますが、通信制大学の役割は、コロナ禍への対応の範を示すという点のみならず、多様な学びのニーズに応えていく主役としてますます大きくなるのではないでしょうか。通信制大学には、今後の高等教育の質の向上を担う『先導者』としての役割を担っていただけることを期待しています。また、リカレント教育やリスキリングに対しては社会的な注目が集まっており、今般教育再生実行会議の後継会議として創設された教育未来創造会議をはじめ、様々な場で議論されることになる。通信制大学の役割は必然的に大きくなっていくことでしょう」(大塚氏)通信制大学のこれまでの歴史は、学び手が高等教育機関で学ぼうとしたときに立ちふさがる障壁を一つひとつ取り除いてきた過程でもある。今後高等教育全体が「学生の多様性」を実現していくうえで、通信制大学のこれからの取り組みに引き続き注目していきたい。授業の方法通信制の大学通学制の大学①面接授業講義、演習、実験、実習もしくは実技のいずれか又はこれらの併用により行う②遠隔授業(メディアを利用して行う授業)文部科学大臣が別に定めるところ(※)により、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる③放送授業・主として放送その他これに準ずるものの視聴により 学修させる授業・添削等による指導を併せて行うものとするー④印刷教材等による授業・印刷教材その他これに準ずる教材を送付もしくは 指定し、主としてこれにより学修させる授業・添削等による指導を併せて行うものとするー(※)②メディアを利用して行う授業について(2001年3月30日文部科学省告示第51号)通信衛星、光ファイバ等を用いることにより、多様なメディアを高度に利用して、文字、音声、静止画、動画等の多様な情報を一体的に扱うもので、次に掲げるいずれかの要件を満たし、大学において面接授業に相当する教育効果を有すると認められるもの。 1.同時かつ双方向に行われるものであって、かつ、授業を行う教室等以外の教室、研究室又はこれらに準ずる場所において履修させるもの2.毎回の授業の実施に当たって、指導補助者が教室等以外の場所において学生等に対面することにより、又は当該授業を行う教員もしくは指導補助者が当該授業の終了後速やかにインターネットその他の適切な方法を利用することにより、設問解答、添削指導、質疑応答等による十分な指導を併せ行うものであって、かつ、当該授業に関する学生等の意見の交換の機会が確保されているもの図5 通学制と通信制における授業の方法の比較図6 通学制と通信制の設置基準における授業方法に関する規定出典:2020年12月23日文部科学省資料より乾作成印刷教材による授業・放送授業等全て遠隔授業で実施可面接授業※オンライン授業を60単位まで算入可卒業に必要な単位(124単位以上)面(遠隔可)30単位以上放で代替可(10単位)通信教育課程通学課程※特例的な措置:コロナ感染拡大により、面接授業の実施を予定していた授業科目に係る授業を、十分な感染対策を講じたとしても面接授業により実施することが困難な場合、遠隔授業を行う弾力的な運用を認める(他の災害時にも特例措置が適用されることが2021年4月文部科学省通知により明確化)通信制大学は、なぜ学生の多様性が実現できるのか?第2特集

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