カレッジマネジメント231号
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48リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022メディアを活用した完全通信教育による大学教育にいち早く取り組み、幅広い層の学生に質の高いIT技術の学修機会を提供してきたサイバー大学。その学習システムは昨今のコロナ禍において大学教育の現場のみならず様々な業界から注目を集めている。その注目の裏にある大学ならではの取り組みや今後に向けた課題等について、川原洋学長に伺った。サイバー大学の学生は、およそ6割が社会人学生として何らかの仕事を持ちながらカリキュラムをこなしている。残り4割のうち半分強は高校新卒からの進学、半分弱は子育て中または子育て後、リタイア後等に学びを志した学生という分布だ。ITを学びたいという動機は共通しているものの、それ以外の属性は実に多種多様である。なかには競技で世界を転戦するスポーツ選手や芸能活動との両立を図る学生もいるという。学力や学ぶ意欲はあるものの身体的・精神的理由で通学できない学生の入学ケースもある。男女比で見ると、男性73.2%に対し女性26.8%。およそ3:1の比率となっているが、2021年秋入学で見るとその比率はおよそ2:1となっており、平準化が進んでいる(図2)。女性もITスキルを身につけ職場進出し高い経済力を持ってもらいたいとの考えから、大学では女性も受講しやすいと思うプログラムを2016年より設けており、その成果が出始めていると川原学長は言う。年齢別では20代が突出して高く46.2%となっており、以下40代が16.5%、30代が15.8%と続いている。サイバー大学ではオープンアドミッションを一つポリシーとし、入試では学力ではなく学習の目的や卒業後の将来像の明確さを重視している。全ての授業がオンラインとなるため、この強い意識や意欲は不可欠だろう。一方では、入学後の学びに適応できるよう国語、数学、情報、英語の基本的な学力を補習するリメディアル教育の機会も提供している。また、入学直後には「スタディスキル入門」と呼ばれる教養科目の受講を必須とする。文字通りサイバー大学で学ぶうえで必要なスキルを身につけるためのもので、学びを進めるための自己管理の方法、オンラインにおける他学生とのコミュニケーションやディベートの方法等を指導する。サイバー大学での学びを特徴づけているのが、独自開発のオンライン学習システム「Cloud Campus」だ。パソコンやスマートフォンからいつでも学習することができるこのシステムの効果もあり、サイバー大学の履修継続率は2021年10月現在で85.7%を誇っている。独自開発の学習システムとティーチングアシスタントの存在が多様な学生を卒業へと導くサイバー大学学生の多様性を実現する通信制大学の事例サイバー大学川原 洋 学長Case Studies_2オープンアドミッションをポリシーに学ぶ意欲を強く持つ学生を受け入れ時間、場所を問わない学びを可能にするオンライン学習システムIT総合学部テクノロジーコースビジネスコースITコミュニケーションコース図1 サイバー大学 学部・コース

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