51リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022行い、授業手法にも早期からアクティブラーニング型授業を取り入れています。さらに業界から最新情報を収集し、産学連携プログラムとカリキュラムの開発・改善を常に行っています。今でこそ河合塾学園の財政状況は安定していますが、5~10年前までは長らく苦しい状態が続きました。それを職員の採用や育成に注力し、適材適所で活躍してもらうことで乗り越えてきました。専門学校プロパーの職員を採用し、若いメンバーが帰属意識を持って自分達の学校を良くしようと取り組んでくれたことで、その危機意識が職員だけでなく講師の側にも伝わりました。そして講師も募集に積極的に関わってくれるようになり、教職一体で様々な授業改善のアイデアを出して、徐々にお客様の評価へと繋がっていったのです。プロパー採用の効果はとても大きく、現場の雰囲気とモチベーションの向上が生徒に還元されていくという王道の方法で、時間をかけてやってきた成果が出始めました。この若手職員の中から管理職候補も出てきたので、これからより加速した効果が出てくるのではないかと期待しています。改革によって未来に投資する利益水準も確保できたので、これをどんどん投資に回す、攻めの循環に入り始めました。まず安心・安全に学ぶ環境としての設備施設の刷新です。エアライン学科が使う研修機材を全て新しいものに入れ替えたほか、2020年度にはデザイン専門学校の学生が企画・デザインを手がけた国際ホテル学科の新実習室が完成しました。予算が限られる中でも学校全体で盛り上げて行くことで、お互いの学びの連携にも繋がったケースです。コンピュータ校の場合は最新機材が必須なだけでなく、学科新設時には最先端の技術が分かる講師の確保もまた投資だといえます。前述の若手職員の採用や職員力向上のための研修といった人材育成そのものも、教育業界にとっては一番の投資でしょう。ここ2年間で入学者数が増えましたが、増えた時ほど今までと同じことをやっていては満足度が下がるので、学生の満足度を高めるための投資に注力してきました。現在は、年度内の完成を目指して、次期中期計画を策定中です。最後に、本学は希望の業界や会社に入るのがゴールではなく、世の中の変化に常にアンテナを張って、ありたい姿を自ら描き、その実現に必要な改善をし続ける人材であってほしいという思いを持って、学生一人ひとりの意識を高め、高度な職業人として社会へ送り出しています。今後我々にできることは、将来的な成長や目標達成、自己実現の喜びをしっかり伝えて、生涯学び続ける努力をし続けてもらえる人材を育成できるかというところにかかっているのだろうと思っています。(文/能地泰代 撮影/冨永智子)若い職員の危機意識が改革の原動力に学生満足度を高める投資で攻めの循環にかわい・ひでき1982年生まれ2006年一橋大学経済学部 卒業三菱地所株式会社 入社2011年同社退社2012年学校法人河合塾 入塾総合企画部長、グループ経営戦略本部長を歴任2016年学校法人河合塾 理事就任学校法人河合塾学園 理事長就任(現職)2018年学校法人河合塾 副理事長就任2020年学校法人ドルトン東京学園 学園長就任(現職)学校法人河合塾 理事長就任(現職)
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