長期経営計画実現のマイルストーンである業務プロセス変革による新たな価値創出新連載リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022早稲田大学(以下、早稲田)は2032年に迎える創立150周年に向け、2012年に中長期計画“Waseda Vision 150(以下、Vision 150)”を公表した。実行推進を5年ごとに区切り、2013-2017年のSTAGE1では「アジアのリーディングユニバーシティ」を、2018-2022年のSTAGE2では「世界で輝くWASEDA」をスローガンとして掲げ、現在13の核心戦略と44のプロジェクト(2021年7月時点)を進めている。その全体像は図1に示す通り、教旨に基づく4つのビジョンから成る。特筆すべきはグローバル志向の高さであろう。グローバルリーダーを育てるため、グローバルに通用する大学であり続けるために、必要な施策として理事会が挙げたのが基盤業務のデジタル化推進であった。業務改革は目的ではなく、ビジョン達成のための手段であり、「総合的に見てビジョン達成と全体のコスト削減が両立できることが経営上のポイントでした」と山名氏は言う。「本学が育成したいのは、世の中の変化に対応できるグローバル人材です。その価値を創出していくための基盤がDXによる業務変革なのです」。そうしたグローバル人材には、エビデンスを活用し挑戦する「たくましい知性」と、多様な価値観に敬意を払い、違いを尊重する「しなやかな感性」が必要だと早稲田は考える。それらは、答えのない問題に挑戦するための基礎力であり、早稲田が描く新しい大学で育まれる新たなスキル・マインドだ。「本学は次世代に合った学修者本位の教育への変革を人材育成の道筋としたい。学生一人ひとりの経験や志向を見極め、各自に最適な学びの環境を提供していきたい。そうした学修の個別化はデジタルにより可能となる。その成果の可視化も同様です」。Vision 150実現のための教育、52早稲田大学の情報化推進について、情報化推進担当理事の山名早人氏、情報企画部事務部長の高橋智広氏、人事部業務構造改革担当副部長で情報企画部マネージャーの神馬豊彦氏にお話を伺った。情報化推進担当理事山名早人 氏情報企画部事務部長高橋智広 氏人事部業務構造改革担当副部長情報企画部マネージャー神馬豊彦 氏図1 Waseda Vision 150の概観1. 世界に貢献する高い志を持った学生 【基軸】人間力・洞察力を備えたグローバルリーダーの育成学問の独立学問の活用模範国民の造就教育・研究Vision大学経営Vision2. 世界の平和と人類の幸福の実現に貢献する研究 【基軸】未来をイノベートする独創的研究の推進3. グローバルリーダーとして社会を支える卒業生 【基軸】校友・地域との生涯にわたる連携の強化4. 世界に信頼され常に改革の精神を持って進化し続ける大学 【基軸】進化し続ける大学の仕組みの創設Vision教 旨事例report_01 早稲田大学“Waseda Vision 150”を達成するための基盤整備
元のページ ../index.html#52