カレッジマネジメント231号
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56リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022②行政機能の高度化・効率化市役所職員の人的資源を住民サービスのさらなる向上につなげるため、AI・RPA等のデジタル技術を積極的に活用し、抜本的な業務変革を目指すもので、業務の標準化、共通事務の効率化等が該当する。③組織体の変革デジタルファーストな組織体へ変革するため、研修による育成・意識改革、働き方改革の推進、人事評価制度の見直し等を行っている。④IT環境の再整備公民館Wi-Fiの導入、WEB会議環境の拡張等、オンラインでの業務を一定程度前提にした環境整備、ガバメントクラウドの検討等を行っている。「デジタル技術による革新的な都市機能」を市内の多数地域に実装するため、2019年度より推進中の「塩尻MaaSプロジェクト」をモデルに、同様のDXプロジェクトを創出・推進する仕組みを構築する動きである。モデルとなっている「塩尻MaaSプロジェクト」とは、自動運転技術やAI活用型オンデマンドバス等次世代モビリティサービスを活用した交通DXの実証実験である(写真)。地域住民×民間企業×研究機関×行政で、地域における新たな価値創出を多く実装することを目指して、以下4点を軸に活動している。①受け手(使い手)のデジタルサポート行政DXでも地域DXでも、最も苦労するのはデジタルデバイド、即ち情報格差であるという。特に高齢者はスマホを持っていてもアプリをDLしたことがない、HPで通達しても見ていない、といったことは常である。せっかくサービスを整備しても、使ってほしい人にデリバリーされないのでは意味がない。そのため、まずは公民館でアプリの使い方講座を実施する、駅前やスーパーで街宣活動を行う等で参加のハードルを下げ、実証実験で体験してもらう機会を丁寧にたくさん作り、その感想を吸い上げて改善サイクルをアジャイル的に回すことが必要になる。「新しいツールを作ったので使って下さい、だけでは広がらない一方で、一度体験すれば良いサービスだと理解してもらえることは多いので、最初のUXをどう作るのかを大切にしています」と太田氏は言う。②デジタルインフラの継続整備・活用③社会実装を見据えた実証実験の展開課題とニーズを地域から抽出してサービスを設計し、実証実験を繰り返して実装に至るまでのプロセスを描く。民間事業者と連携しながらも、サービスインの障壁となるステークホルダーとの調整、資金調達(ガバメントクラウドファンディングの利用等)を行政がバックアップし、実装を促す。ここで活躍するのが塩尻市独自の組織KADO(カドー)である。KADOは、地方では求人が少ない時短就労を支援する自地域住民主体:行政革新的なサービスモデル新たな行政手続きの実装行政機能の高度化・効率化組織体の変革IT環境の再整備地域事業者塩尻関係者誰からも喜ばれるスマート田園都市 しおじりデジタル技術によるQOLの向上地域DX行政DX「行政DX」と「地域DX」の両軸で「自治体DX」を推進する主体:民間・行政革新的な都市機能(MaaS等)受け手のデジタルサポートデジタルインフラの促進実証実験の連続・高速展開DXクラスターの形成協調・連動図 戦略の基本理念塩尻市交通DX「のるーと」地域DX:地域にデジタルを実装し新たな価値を生み出す

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