カレッジマネジメント231号
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57リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022営型テレワーク推進事業で、育児介護等で就労に時間的制約のある人が好きな時間に好きなだけ働けるように、行政が環境整備・公的与信による仕事の調達や就労環境整備を担う事業である。「実証実験等の進捗に応じて人員差配できるKADOを持っていることで、推進の細部に至る目配りができている」という太田氏の言葉通り、設計段階では要件定義しきれないところをKADOが柔軟に担うことで、DX推進力の担保と就労支援を両立する仕組みが構築されている。加えて、KADO登録者は市民なので、自らが求めるサービスを自ら生み出して自ら回す循環につながる。市内のリソースをシェアリングエコノミーで活用しながらサービスを開発・向上させていくスキームだ。ユーザー側のデジタルデバイド解消と並行して、地域の中にどれだけ支援人材を作っていくかが重要というわけである。また、「アナログでないと届かない住民に対しては、KADOでアナログ変換して届ける機能を持ちたい」と太田氏は言う。外部である理由は、市役所で内省しては事務処理がアナログとデジタルの2本になってしまうので、業務プロセス改善にならないからだ。エンドユーザーに対するアプローチを精緻に設計するうえで、KADOは欠かせない存在であると言えそうだ。④DXクラスターの形成サービスの開発・提供等を担う民間事業者、研究開発・分析等を行う研究機関等との産官学連携を促進する。高い推進力と実行力の理由を問うと、小澤氏は2点を挙げた。まず、DX戦略策定に外部コンサルを入れず、内部の議論と市民ニーズに基づいて議論したこと。その内容もフレキシブルに見直しながら進めている。もう1つが推進人材の育成確保である。「要所に適材を入れること、そして職員全体の意識が向上すること。DXが成功するかどうかは迅速に決断して実装できるかにかかっています」と小澤氏の言葉は明快だ。塩尻市が進める自治体DXの今後に注目したい。(文/鹿島 梓)副市長DX推進係サービス連携相談・意見聴取サポートサポートICT環境整備主管・官民PJ広域連携副業制度主管・業務改革先端のICT技術や課題解決手法の共有官民連携による実証実験サービス開発庁内横断プロジェクト庁内横断プロジェクトチームアウトソーシング(RPA開発等)実証実験サポートサービスオペレーションICT環境整備サービス連携行政改革・組織人材育成・働き方改革情報システム係官民連携推進係企画係職員係KADO(振興公社)担当課担当課企画政策部長デジタル戦略課長CDO(Chief Digital Ocer)官民連携推進課長企画課長総務人事課長総務部長・ 各課業務課題の収集、デジタル技術の適用方針決定・ DX施策のトライ&エラーによる高速意思決定・ 渉外(民間、国・県・他自治体)行政DXチーム新サービス創出業務効率化リーダー:DX推進係長地域DXチーム官民連携実証実験(MaaS等)社会実装リーダー:官民連携推進係長民間パートナー・総合商社・シンクタンク・ソフトウェア 開発事業者・通信事業者・地域事業者 等民間パートナー・ソフトウェア 開発事業者・シェアードサービス (共通業務)事業者・人材関連事業者・シンクタンクアドバイザー・総務省・長野県・内閣府・先進自治体 等大学・研究機関塩尻市役所DX推進チーム・信州大学 等塩尻市DX推進本部 方針・重要事項決定 全体進捗管理図 塩尻市DX推進体制市役所本来の仕事に立ち返る当事者意識の醸成と実行推進人材の確保が推進の肝

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