カレッジマネジメント231号
63/84

63リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022図2 MIGsアジェンダ2026 行動計画図3 個性に応じた学び(マイプロジェクト)の支援を 軸とした高大一貫教育※MIGsとはSDGsを援用したもので、 M:大正大学の未来・魅力 I:イノベート Gs:バックキャスティング(達成目標)理念新共生主義建学の理念「智慧と慈悲の実践」をベースに、困難な時代に「共に生きる」態度・姿勢を学ぶ。慈悲=目に見えない無限の愛情のもと、大きな智慧に学び、実践する「共に生きる」理念がこれからの時代に求められている地域人イズム(地域人スピリット)大正大学では、「地域」を支える人材を「地域人」と呼ぶ。地域を担う「地域人」を養成し、社会的課題に応えていく教育アントレプレナーシップMIGs人材育成最大の目標:社会人として自立して生きていくため、新しい価値創造を企画・実現できる人材育成を目指す。2022年度から体系化されたカリキュラムを展開予定DACDiversity AgencyCommunity「自ら考え、主体的に行動して、責任をもって社会に参画できる人材」となるための学びを組織的にサポートする「総合学修支援機構」すがもオールキャンパス巣鴨を基盤とした地域と全国の地域とのつながりを強化する。このフィールドから大正大学と連携する95の全国自治体とつながる●探究で見方•考え方を深める●「自分らしさ」を追求する●マイプロで価値を創造する●総合型選抜・学校推薦型選抜などでマイプロ・探究の成果を 評価●授業で深めた見方・考え方や価値創造力を武器に挑戦●マイテーマに寄り添った授業・課外活動の運営(学生の問いに専門科目で答える)●“マイプロ”で価値を創造する(マイテーマ・マイプロジェクト)「個性に応じた学び」視点高校入試大学就活地域で「問い」をもち、すぐに地域で活動できる状態で入学してくる「自分らしく社会に参画する力」がつく自分らしく働ける起業力がつく地域創生学生の成長問いを立てて学んだ経験を問う入試だ。問われているのは、「探究から知識習得に立ち返り、その知識をもってさらに問いを深めるサイクルを回せたか」である。浦崎教授の言葉は明快だ。「大学教育の土台は高校の学習です。だから本学は、問いを軸に学べたかを問いたいのです」。自分の問いの解決のために「もっと学びたい」と思った経験がなければ大学教育への接続にならない。何故なら大学は学問をする場であるからだ。ここを読み違えてはならないだろう。書類審査では、これまでの経験や志望理由を、具体的な事実やエピソードで記載することを求める。フォーマットなしの自由記述だ。これについて井上氏は、「項目を埋めるのではなく、思考力を駆使して書くという行為に拘りました。大学教育への接続を考えてのことです」と言う。二次審査はプレゼンテーション・面接である。志願者の「これから」を、以下4つに基づいて評価する。・自己探究計画:どんな強みを持ち、今後どこまで磨きをかけ、どんな自分になりたいのか・学問探究計画:どんな経緯でどんな問いを持ち、4年間で何をどのように学びたいのか・価値創造計画:どんな価値をどんな社会に生み出し、貢献したいのか・コミュニティ貢献計画:周囲の学びをより豊かなものにしていくために、自分はどう貢献していけるか「本学の地域戦略人材育成入試を、自らを顧みて成長するチャンスと捉えて挑戦する方の受験を期待しています」と井上氏は言う。高校生が探究で得た「問い」を高大7年かけて育成する大学側の覚悟が、新たな高大接続の形に結実するのであろう(図3)。(文/鹿島 梓)のまま前述した大正大学の教育改革の軌跡だ。「お膳立てされた課題解決に取り組むのでは主体的に価値創出できるはずもない。自らの問いを軸に置くことで地域戦略人材が育つという本学の屋台骨が決定的になったわけです」と浦崎教授は言う。「本学がMIGsアジェンダ2026に示す共生社会は、きれいごとではなく具体的に価値を生み出し、地域経済を回せなければ実現はあり得ません。どこに着目してどう価値を創出するのかは、自分ごととして課題を捉えて出てくる問いに立脚するもの。そしてその実行推進には、アントレプレナーシップが必要です」。教育改革の方向性は地域の実情のみならず、高校教育の変化も捉えているのである。高校で新課程型の学びを実践してきた学生の成長が、大学入学を機に止まることがあってはならない。既に問いを持つ学生に対してはそれを育てる仕組みが、まだ問いを持たない学生に対しては自分の問いを持てるような機会の提供が必要となる。「学生の気づきを尊重し、そこに寄り添うスタンスを大事にしたい」と浦崎教授は言う。地域戦略人材育成入試は、「問いを持って学んだ経験」を問う入試である。まず、一次審査では志望理由書・調査書を用いて、学部のアドミッション・ポリシーと以下2点から志願者の「これまで」を評価する。・実社会と己の関わりから生まれた問いに基づいて課題設定し、プロジェクトを立ち上げ、実践した経験がある・志望学科の専門科目につながる学習経験を持っている単に探究した事実では評価されないことに注意が必要

元のページ  ../index.html#63

このブックを見る