カレッジマネジメント231号
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66リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 20222021年6月、岩手県において、いわて高等教育地域連携プラットフォーム(以下略、いわてPF)が発足した。岩手県内の高等教育機関と、経済・産業団体、岩手県、岩手県教育委員会など21の団体で構成される。プラットフォームを取り巻くのは21団体に加え、県内の産学官連携や大学連携、県内の人材定着を推進してきた3つの組織も大きな役割を担う。産学官連携の中心となる「いわて未来づくり機構」、大学連携は「いわて高等教育コンソーシアム」、若者や女性の県内就職を推進する「いわてで働こう推進協議会」の3つだ。実は岩手県は、全国でも早い時期から産学官連携に自発的に取り組んできた。いわてPFを取り巻く3つの組織のうちの1つ「いわて未来づくり機構」は2008年に発足したが、これは1992年に岩手大学の教員を中心に産学官の有志が交流する場として自発的に生まれた「INS(岩手ネットワークシステム)」等の活動を基に、地域のリーダーがビジョンを共有して長期を見通したぶれない活動を推進できる、産学官組織のネットワーク形成を目的に設立したもの。ほかの2つの組織もそれぞれに問題意識を持った関係団体から生まれ、「いわて高等教育コンソーシアム」は13年、「いわてで働こう推進協議会」は5年を経ている。いわてPFの代表を務める岩手大学学長の小川 智氏は、こういった取り組みを自発的に推進していた岩手県においては、地域連携プラットフォームの基盤というものが既にあった、と語る。「岩手県では、2018年の高等教育のグランドデザイン答申や、地域連携プラットフォーム構築のガイドラインが示される前から作り上げてきた各組織の取り組みをさらにしっかり組み上げたうえで、どのような連携の形にすべきかを検討した結果、このいわてPFが発足しました。いわてPFが「いわての高等教育」をキーワードに課題を抽出し、その解決に向けた取り組みを進めるために協力する団体や組織がある。つまり実行部隊をたくさん持っているというイメージです。今まで単独で動いていた組織の役割を明確にし、それぞれの特徴を生かしながら取り組みの方向性に賛同するところが随時連携して効果的に展開する。その全体像をコントロールするのがいわてPFの役割になるわけです」。いわてPFは2021年6月の発足後、本格的な活動を進めるための準備段階にある。具体的には、取り組むべき優先度の高い課題を抽出するため、8月に関係団体へのアンケートを行った。その結果等を踏まえ、12月の会議で具体的な方針を決定していくという流れで進行中だ。そのアンケートの中では以下の4つの課題への要望が多いことが見えてきた。①地域ビジョンを踏まえた、地域との連携による人材育成の推進②高等教育機関と連携した地域活性化の推進いわて高等教育地域連携プラットフォーム代表岩手大学 学長 小川 智産学官連携に積極的に取り組んできた岩手県県が事務局を担当地域連携で発展する大学 産学官連携を早くから進めてきた岩手の強みを生かして課題解決に取り組むいわて高等教育地域連携プラットフォーム#2

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