68リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022岩手県は四国とほぼ同じ面積の広大な県土に人口は全国の約1%。高齢化と人口減少が進み、都市部に比べ県民年収も低く、当然18歳人口の減少の影響も大きい。「典型的なローカル化による課題はおのずと山積している状況」(小川氏)にあって、関係者の課題への危機感も強い。そういった背景が自発的な産学官連携を推進する原動力になっている。なかでも産業を興すための共同研究に関する取り組みは、伝統的に強く進めてきた。岩手県では中長期的な育成産業として、自動車産業、半導体産業、そして医療関係の3つを大きな柱として掲げている。自動車産業はトヨタ自動車東日本の生産拠点が県内にあり、内陸の北上川の流域には半導体・半導体製造装置の拠点が多くある。そのような中、大学には高度人材の育成が要望されている。医療は、これからの高齢化に向けて、高度医療をいかに遠隔地へ届けるかといった研究開発が中心となる。「大学では今、社会の要望に応えるような人材育成、教育メニューを大学内で十分に提供できているかどうかを見直す時期が来ていると感じています。旧態依然とした学問体系に基づく教育カリキュラムだけで良いのかどうか、現在、学内の教育カリキュラムの改善を検討しているところです」。また、これまで進めてきた共同研究を中心とする産学官連携の取り組みも円熟し、イノベーションが必要とされる中、連携をコーディネートする人材やリカレント教育も含め、地域全体での人材育成が必要ではないかという声があがっているという。これまでの様々な取り組みについても新たな視点を取り入れる時期にあり、ここでもいわてPFの役割が期待されている。推進会議年3~4回各参画団体担当者ワーキンググループ全体会議年2回全参画団体長施策の決定・合意事務局 : 岩手県庁ふるさと振興部学事振興課課題ごとの検討 施策案の具体化に向けた検討 代表:岩手大学学長副代表:岩手県立大学学長、岩手県商工会議所連合会会長、岩手県副知事いわてPFの意思決定体制全体会議・推進会議・ワーキンググループの3つからなる体制の構築を進めている。事務局は県が担当し、産学の連携をバックアップする。図表2 プラットフォームの会議・意思決定の仕組み自動車、半導体、医療プラットフォームが岩手の産学官連携の推進役に地域連携で発展する大学
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