カレッジマネジメント231号
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8リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022一方、ここ数年の傾向を見ていると、個人と企業の関係性が徐々に変化しており、それに伴って学生の企業・仕事選びにおける「安心・安全」の定義も変わりつつあります。年功序列・終身雇用を柱とした日本型雇用慣行のもとでは、「安定した企業で長く働くこと」が個人にとって持続可能性を約束してくれるものでした。ところが、既存の価値観やビジネスモデルが通用しないVUCA時代の到来により、組織に依存するリスクを実感し、自己成長の機会を主体的に選び取る重要性を意識する人が増えました。また、社会全体のワークライフバランスに対する意識の高まりもあり、個人が企業の持続可能性を大きく3つの視点で判断しているように思います。自らの能力・スキルの向上や成長といった「個人のキャリアの持続可能性」と、環境やライフステージの変化があっても柔軟に働ける「働き方の持続可能性」、そして、「組織としての持続可能性」です。学生の企業・仕事選びにおいても同様で、一例として、各年卒業予定の学生に「働きたい組織の特徴」を聞いた調査その他会社・団体の規模が小さい副業ができる会社・団体の知名度がある課外活動(サークル、アルバイト)や学校以外で学んできたこと・経験を活かせる裁量権のある仕事ができる会社・団体の規模が大きいゼミや研究等、学校で学んできたことが活かせる教育・トレーニング環境や研修制度が充実している年収が高い会社・団体の理念やビジョンが共感できる会社・団体で働く人が自分に合っている勤務地が自分の希望と一致しているフレックス制度、在宅勤務、テレワーク、育児休暇等、働き方に関する制度が充実している職種が自分の希望と一致している業種が自分の希望と一致している会社や業種の成長性がある希望する地域で働ける会社や業種の安定性がある福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している自らの成長が期待できる66.361.151.444.842.137.437.433.733.129.832.136.832.038.630.824.828.331.327.628.527.624.226.923.823.017.721.819.920.725.317.816.316.913.515.315.84.42.51.80.50.63.65.2pt6.6pt4.7pt3.7pt3.3pt-4.7pt-6.6pt6.0pt-3.0pt-0.9pt3.4pt3.1pt5.3pt1.9pt-4.6pt1.5pt3.4pt-0.5pt0.8pt0.7pt-0.1pt2022年卒-2021年卒(%)2022 年卒( n=1168) 2021 年卒( n=304)図2 学生が企業に応募する基準(2022年卒学生)リクルート『2022年卒採用の中間報告と2023年以降の就職・採用の展望』※大学生_全体(就職志望者・就職活動経験者/複数回答)※大学院生除く 学生が応募する企業を選ぶ基準として「自らの成長や育成」、「働き方や制度」関連項目が前年より5ポイント以上増加している。コロナ禍で学生の「安定志向」が高まったのでは?(小林)「安定」の中身が変化。「自己成長」重視が増えている(増本)

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