9リクルート カレッジマネジメント231 │ Jan. - Mar. 2022では、「どこの会社でも通用する汎用性の高いスキルが身につく会社」が「その企業に属してこそ役立つ専門性の高い能力が身につく会社」よりも支持される傾向が過去5年連続で見られます(※2)。小林:「個人のキャリアの持続可能性」を意識し、自己成長できる環境かどうかを基準に企業を選ぶ学生が従来と比べて増えているのですね。コロナ禍でこの傾向に変化はありますか?増本:データを見る限り、加速しています。22年卒の学生に「企業に応募する基準」を調査したところ、最も多くの学生が選んだのは前年と同じ「自らの成長が期待できる」(66.3%)で、前年から5.2ポイント増加していました(図2)。学生と話す機会も多いのですが、企業選択において自己成長を重視し、その判断材料として従来よりも短期的に得られるものは何か?など具体性の高い情報を企業に期待する姿が見られます。「10年で一人前」という言葉がありますが、「10年も待てない。入社後の数年間でどんな能力やスキルを身につけられるのかを知りたい」という声をよく聞くようになりました。一方、そうした情報を十分に言語化できている企業は多くないのが現状です。学生の大企業志向は根強く残っていますが、社会の不透明性が高まるほど、「大企業であること」は「安心・安全」の拠り所としては不安定な存在になります。今後は、「自社に入社することによって、個人が外部労働市場においても価値があるのか」を具体的に提示できない企業には、たとえ大企業でも「自分のキャリアを預けられない」と考える学生が増えていくのではないでしょうか。小林:経団連が「Society5.0(超スマート社会)」の到来に向けてふさわしい雇用制度として触れたこともあって、「ジョブ型雇用」が注目を集めています。大企業を中心に導入する企業も増えていますが、日本企業の「ジョブ型雇用」への移行は今後進むのでしょうか。増本:「ジョブ型」については誤解も多いですが、あくまでリクルート「2022年卒 就職活動TOPIC・理系の学科系統別で見る“専門性への評価”の違いは? 」「大学の授業、研究等で学んだ(得られた)専門性が、就職活動で評価された」と感じる度合いが高い学生ほど、自身の就職活動の取り組みへの満足度が高い。図3 理系学生の専門性への評価認識と就職活動の満足度そう思わない・計どちらでもないそう思う・計大学生理系全体21.626.124.512.937.818.715.515.137.121.310.76.353.110.57.62.644.615.710.87.3まったくそう思わない(-2)非常にそう思う+まあそう思う平均値あまりそう思わない(-1)どちらでもない(0)自身の就職活動の取り組みに満足している評価されたと感じるまあそう思う(1)非常にそう思う(2) 0.62 66.2% 0.93 79.2% 0.63 61.6% 0.18 50.7%(%)3論点「ジョブ型雇用」の導入は、新卒採用をどう変えるのか?※大学生_理系(就職志望者・就職活動経験者/単一回答) ※大学院生除くSchool to Workこれからの就職を俯瞰する第1特集
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