カレッジマネジメント232号
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100リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 20222章:複合分野のマーケットトレンド単独分野と複合分野の比率を図表4に示した。近年大幅な変化はなく、概ね募集定員比率でも志願者比率でも7:3程度の割合で推移している。本来であれば複合分野が増加傾向にあるのが妥当に思われるが、冒頭にあげた時差に加え、実際は新たに社会ニーズと目されるテーマでも既存の単独分野の中で既に展開されているものも多く(例えば、ロボティクス分野は機械工学政策の存在も見逃せない。2020年には、入試改革を控えた受験生が翌年浪人しないために身の丈に合う志望に絞ったさらなる安全志向となり、志願者総数は14年ぶりに減少した。こうした状況に新型コロナが直撃した。コロナ禍において受験生は地元回帰志向が高まり、結果大都市圏の大学が敬遠され、併願校数も減少する等、堅の中で展開しているものが多数を占めるのが現状であり、複合的な学科設置の流れはあまり見受けられない)、新しく見える学問が必ずしも全て複合分野というわけではない実態が窺える。実な動きが目立つ。こうした「全体的な志願状況の悪化」に加え、当然景況悪化の影響もあろう。しかし、伸びている分野の1位が「情報工学」であるのは、奇しくもコロナ禍で明らかになったデータサイエンスやデータリテラシーの必要性に受験生が反応している様子にも見える。翻って減少のランキングを見ると、020406080100202120202019201820172016201520142013201220112010200920082004200019961992(%)(年度)88.587.512.511.513.517.321.121.323.123.524.324.725.025.125.825.225.325.626.427.127.215.420.826.726.227.227.928.228.328.228.128.628.728.729.129.429.429.584.679.273.373.872.872.171.871.771.871.971.471.371.370.970.670.570.686.582.778.978.776.976.575.775.375.074.974.274.874.774.473.672.972.8志願者比率(複合)志願者比率(単独)定員比率(複合)定員比率(単独)図表4 単独・複合分野の定員・志願者 構成比当然増加ランキングと真逆のことが起こる。理系や資格系が人気の不況時期にあっては社会科学系が不人気であり、好況時期はその逆となる。学部学科の新増設等で志願者を増加させたい際は、大学独自の事情のほかに、こうした全体情勢をよく見極める必要があるだろう。

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