カレッジマネジメント232号
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20リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022しかし、このような教育の質的転換に当たっては、これまでの紙ベースの一斉授業では限界がある。試験問題の文字情報を読んで理解して、迅速に正解を書く能力が偏重されるからだ。計画的な勤勉性と文書主義が必須だった工業化社会には適合的な学びだったが、みんなと同じことができること以上に他者との違いに意味や価値のある社会のなかでは、変容が求められている。 そもそも私たちには一人ひとりそれぞれ認知の特性や関心の違いがある。話すこと・聞くこと、書くこと、読むことのそれぞれでも情報の受け取りと表現にわたって強み弱みがあるし、文字情報や音、映像など扱う情報の得意・不得意もあるだろう。計画的に学ぶ人もいれば、興味や関心が拡散する人、特定の分野に尋常ではない集中力を示す人GIGAスクール構想から教育DXへ学習(個別最適な学び)学習(個別最適な学び)学習(協働的な学び)活動(学校行事・生徒会等)福祉的・メンタル面のケア部活動学習(協働的な学び)活動(学校行事・生徒会等)福祉的・メンタル面のケアアプリ通信キャリアOSハードウェア課金認証通信回線アプリアプリ開発者メーカーメーカーサービス会社通信キャリアOSハードウェア課金認証通信回線学級学年の縦割り教科の縦割り部活動大学、高専、企業、NPO、研究機関、福祉機関、 行政、発達障害専門家 等社会・民間の力子どもの状況に応じてウェイト付けは様々学び方が時間的・空間的にも多様化すると、学びの体系性や集団としての教育の機能が弱くなる可能性→様々なリソースを活用するための学校の機能を強化したうえ、スタディログ等により子どもの学びを教師が把握し伴走するとともに、協働的な学びの場を確保する必要学級という集団のなかで質の高い一斉授業を行うことにより、体系的なカリキュラムの実施や対話や協働を重視した学びが可能学校の責任のもと、教科指導、特別活動、部活動などを通して全人的教育を行い、福祉的機能も担う手続き的・形式的な公正やルールが重視され、過度の同調性や画一性をもたらすことも子ども達の認知の特性や関心に応じた個別性の高い教育を実現するためには、時間や人材などのリソースが不十分学びや活動などの実施主体や責任の所在が不明確になる可能性→学び全体はスタディログ等で学校が把握・支援するとともに、活動ごとの責任の所在や情報の管理主体の明確化が必要ICTも活用し、自分のペースで学びを調整したり、学校外のリソースを活かした学びを進めたりすることが可能多様な教職員集団や様々な学校外のアクターが関わることにより、子どもの認知の特性・関心に応じた教育の展開が可能×サービスの硬直化 ×ユーザーの選択肢の少なさ〇 責任の所在の明確さによる安定・安全性供給〇 ユーザーによる最適化〇 専門化で質の向上 ×責任の所在の不明確さ(出典)総務省 情報通信白書(平成24年度版)を参考に内閣府で作成一つの学校が全ての分野・機能を担う状態分野や機能ごとにレイヤー構造、様々なリソースを活用図2 3本の政策と実現に向けたロードマップ【政策1】子どもの特性を重視した学びの「時間」と「空間」の多様化<目指すイメージ②>

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