31リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 202201特集正解がない時代の「学びのデザイン」東工大では、学院制への移行だけでなく研究や大学経営においても、「世界最高峰の理工系総合大学の実現」に向けて様々な改革に取り組んでいる。2018年には、長期目標の実現に向けた「東工大アクションプラン2018-2023」をまとめ、「創造性を育む多様化の推進」「Student-centered learningの推進」「飛躍的な研究推進で社会に貢献」「経営基盤の強化と運営・経営の効率化」を4つの柱とする具体的な取り組みを推進している。これらや、今後加速させていく指定国立大学法人構想、3つのキャンパスの再開発等、全ての改革の出発点に置いているのが、「どういう大学でありたいか」という志だという。キャンパスの再開発も、「我々が生み出した成果で社会貢献したいというのが、研究者のありたい姿の一つ。その後押しをする環境を整えるべく、計画を描いています」と益学長は説明する。大岡山キャンパスでは学生がイノベーションのヒントとなるセレンディピティに出会い、アントレプレナーシップを涵養する環境を整え、すずかけ台キャンパスには国際的な研究拠点として革新的な科学技術の創出や新規・融合分野の研究領域の開拓を促進、田町キャンパスではキャンパス・イノベーションセンターをスタートアップ企業の拠点として貸し出して産学連携による研究成果の社会実装を図るという、イノベーションエコシステムをこれから10年で構築していくことが予定されている。キャンパスごとにその特徴を生かして整備し、同時に大学の志を達成するための道筋としているのである。一方で、喫緊の課題と益学長が強調するのが、「女子学生が少ないことによるジェンダーバランスの悪さ」だ。「イノベーションの源泉の一つは多様性で、多様な知や学術、社会課題、個性がぶつかり合ってこそ創造性やセレンディピティが発揮される。発想や国籍の多様化は進んできているが、理工系の女子学生比率の相対的な低さは、本学のみならず社会全体の問題でもあり、ポジティブアクションとしての女子定員枠に関する議論もしていきたいのが正直なところ」と吐露する。「教育カリキュラムにおいても、社会連携や他分野との融合促進といった研究環境の整備においても、多様性を促進する取り組みをさらに進めていきたい」と益学長。「世界最高峰の理工系総合大学の実現」という東工大のありたい姿に向けた挑戦から目が離せない。(文/浅田夕香)「大学としてありたい姿」を出発点に改革を計画・推進していく図 学院の仕組み1年目学士課程修士課程博士後期課程2年目3年目4年目5年目7年目6年目8年目9年目学士専門科目教養科目学士課程卒業修士課程修了博士後期課程修了修士論文研究修士専門科目博士論文研究博士専門科目標準的な学び早期卒業・短縮修了例上位課程の科目を先行学修学部+大学院学院理学院生命理工学院環境・社会理工学院工学院物質理工学院情報理工学院
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