カレッジマネジメント232号
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50リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022どう生かされているか知りたい」といった「具体的な進路以外の助言」を期待する記述が目立ちました。また、「アドバイスをしてもらいつつ、自分でも調べたい」等、進路選択行動を主体的に行おうとする姿勢が見られる記述が多いことも印象的です。小林:なるほど。高校生と保護者が進路選択において「ちょうどいい」関係性を築けているからこそ、保護者に助言を期待する高校生が増えているのですね。赤土:高校生の進路選択への保護者の関わり方や影響の与え方を把握するにあたり、そこは大きなポイントのひとつだと思います。また、進路選択における高校生と保護者の「ちょうどいい関係性」をより理解するには、近年の高校生と保護者の日常的な距離感も、コロナ禍による変化の前提として押さえておきたいところです。「保護者との日常のコミュニケーションや行動」で当てはまるものを高校生に選んでもらうと、1位「『あなたはどうしたい』『あなたはどう思う』とあなたの意見が尊重されている」(71%)、2位「『自分で選択し、それに責任を持つ』ことが大切だと言われている」(64%)、3位「悩んでいたり、うまくいっていないときに励ましてくれる」(61%)でした(図7)。この順位は過去3回の調査で変化がありません。高校生からも、こうした保護者の行動によって「精神的に支えられた」「守られているなら、挑戦できるなと思った」といった話をよく聞きます。コロナ禍以前から高校生が保護者に感じる心理的安全性がかつてより高まる傾向にあった。さらに、コロナ禍となりコミュニケーション量が増加して、保護者の理解の深まりが「ちょうどいい」関係性につながり、進路選択の場面でも保護者に対する高校生の信頼感が増したと考えられます。図7 【高校生】保護者との日常のコミュニケーションや行動(全体/「あてはまる・計」)高校生の意見を尊重したり、主体性を促す行動が高スコア(%)0204060802021年 全体2019年 全体2017年 全体男子女子調査数「あなたはどうしたい」「あなたはどう思う」とあなたの意見が尊重されている「自分で選択し、それに責任を持つ」ことが大切だと言われているあなたが悩んでいたり、うまくいっていないときに励ましてくれるあなたと意見が異なるとき、頭ごなしに否定しない高校で何を学んでいるのかなど、高校での生活に関して会話している保護者に「夢や目標を大切にしなさい」と言われている保護者に褒められているニュースや社会の動きなどについて一緒に考えたり会話しているあなたがすることを保護者が決めたり手伝ったりするあなたの行動に口出しや干渉をしないチャレンジできる機会を創ったり、増やすようにしてくれるあなたが失敗をしないように、保護者ができることを先回りして考えてくれる保護者がチャレンジしている姿を見る地域との関わりについて会話したり、行事に参加したりしている2021年全体181570.564.160.758.157.452.451.149.138.438.137.536.831.125.12019年全体193866.459.855.552.652.245.648.844.536.434.735.834.431.027.72017年全体198766.152.049.645.852.437.547.640.232.630.1-29.8-22.7高校生と保護者の「ちょうどいい」関係性※「2021年全体」降順ソート ※【2021年属性別】「2021年全体」より10pt以上高い5pt以上高い10pt以上低い回答者高校生

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