カレッジマネジメント232号
52/108

52リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022大学が世に送り出したい人材像を大学のディプロマポリシー、つまり「出口」の情報として整えること。一方で、高校生の現在の学びと大学の学びが「入口」においてどう接続するのかを、各大学がしっかりと明示することが鍵となると思います。つまり、社会がどう変化するのかということと、保護者が目の前にいるわが子の現在の姿、大学入学後、卒業後の姿、それらが一本の線でつながるように伝えることが大切なのではないかと考えています。その重要性は、高大接続改革の目的を明記したうえで「教育改革の内容への期待と不安」を保護者に尋ねた設問への回答結果からも読み取れます(図9)。保護者の回答を見ると、高校の教育改革については全ての項目で「期待」が6割を超えています。また、大学の教育改革への期待度も高く、とりわけ高校と大学の学びの接続に関しては68%が期待を寄せています。小林:一方で、入学者選抜試験の不安度は依然として高く、高校生の回答結果も同様です。高校と大学の学びの接続への期待を高め、不安を解消するには、大学で学ぶために、高校の学びで得たどんな力が「入口」において評価されるのかを各大学が示すことが重要になってきそうですね。赤土:その際に分水嶺となり得るのは、22年度から高等学校で本格導入される新学習指導要領の目玉ともいえる「探究学習」です。先ほどの「教育改革の内容への期待と不安」図9 教育改革の内容への期待と不安高大の学びの接続には68%が期待。入学者選抜については不安が期待を上回る傾向期待・計不安・計期待・計-不安・計の差65.726.039.861.523.637.961.529.432.161.230.530.750.036.813.243.341.51.939.950.7-10.838.151.3-13.234.554.7-20.267.719.048.847.135.511.6期待・計不安・計生徒が自らテーマを設定し、調べたり解決に向けて取り組む探究学習が重視される学んだことや経験したことを振り返り、次の目標を立てる「ポートフォリオ」が導入されるICT技術を活用し、一人ひとりが最適な学習内容と進度で学べるようになる先生が知識を教え込む授業から、生徒が主体的に考え、学び合う授業に変わる総合型選抜(AO入試)、学校推薦型選抜(推薦入試)でも、学力評価が必須となる高校と大学、専門学校が連携を深め、生徒の学びがより繋がっていく大学が、入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)等を策定・公表し、それに基づいた入学者選抜が実施される調査書が変わり、「学力の3要素」すべての評価が記載される各大学の個別入試では、筆記試験に加えて小論文や面接、ポートフォリオなどで主体性が評価される「大学入試センター試験」が「大学入学共通テスト」に変わり、より「思考力・判断力」が必要なテストになる英語はリーディング(100点)とリスニング(100点)の出題となり、これまでより「聞く」技能が重視される期待はあるが不安が大きい不安はあるが期待が大きい期待できる不安であるわからない無回答高校の教育入学者選抜大学の教育【高校の教育】(n=1529) 【入学者選抜】【大学の教育】(n=902)⦆※カテゴリごと「期待・計」降順ソート28.628.824.521.319.313.513.411.29.933.016.430.724.610.913.73.734.715.53.43.59.824.634.420.37.43.426.929.621.77.13.426.527.722.96.03.429.827.813.610.94.330.725.611.29.83.439.825.84.76.12.237.024.54.86.82.432.719.64.012.22.737.121.14.86.12.2凡例(%)分水嶺となり得るのは「探究学習」回答者保護者

元のページ  ../index.html#52

このブックを見る