54リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022保護者との連携強化のための、大学からの情報発信●事例大学の教育内容や学生支援に期待もありながら、不安も併せ持つ保護者に向けて、大学が行う積極的な情報発信について聞いた。阪南大学入試広報課髙橋慶一 氏教務課中嶋孝宏 氏阪南大学は、教務課が在学生の保護者向けにきめ細かい情報発信を行うことで、保護者と連携した学生のサポート体制を整えている。背景には中途退学予防という課題意識があり、「何のケアもせずに退学してしまう前に、早期発見と丁寧なサポートが必要」(教務課・中嶋孝宏氏)だと考えた。そこで2016年度から、①保護者の大学に対する理解促進と不安解消、②保護者の来学機会増大、③中途退学予防としての保護者との連携強化の3点を狙いに、「保護者対象大学体験フェア」と「教務相談会(ゼミ担当教員との個別面談)」を開始した。同時に保護者専用ポータルサイト「HUPAS」を開設し、学生の出席状況、成績状況、時間割等、学修支援に重要な情報を配信している。2020年12月からはLINEによる双方向コミュニケーションも導入し、月4~5回のペースで、履修登録や奨学金などタイムリーな情報を精査して配信することで、LINEと連携した「HUPAS」の利用促進を期待している。今年度は特にオンラインに注力した。10月に体験講義のライブ配信及びオンデマンド配信によるフェアを開催、同時期に1カ月間の個別相談会を設けた。コロナ禍でオンライン授業についていけない成績不振の学生の保護者に向けて、書面やLINEなどあらゆるツールを駆使して情報発信し、専用のフォームで予約受付、教務課が担当教員との日程調整を行った。手間はかかったが、相談件数は例年より多い206件、中途退学者も減少傾向にあるという。全体の4割がオンラインを希望し、他府県在住の保護者や感染を心配するニーズにも応えることができた。入試広報課・髙橋慶一氏は「入試広報でも保護者向け大学案内を作成しているが、親子の関係性が昔より強くなっているので、保護者に特化するよりは受験生と保護者を一括りで考えたほうがいい」と語る。「今後は新しい教育内容などのポジティブな情報と、今起こっている事実を伝える情報の両面を発信しながら、“保護者に丁寧なサポートをする阪南大学”という定評につなげたい」と続けた。(文/能地泰代)履修登録、授業の方針、新型コロナウイルス関連等の情報が確認できるLINE公式アカウント「阪南大学Info」は学生と保護者に向けたメニューがある。受験生、在学生双方の保護者に向け、LINEやWebサイト、書面による丁寧な情報発信を実施
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