カレッジマネジメント232号
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リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 202256本学のキャンパスは、京都駅から13分の京都市営地下鉄「北大路駅」に隣接しており、文、社会、教育、国際の4学部、学生数約3200名を擁する仏教系の大学です。1665年に東本願寺の学寮として始まり、近代の大学として開学したのが初代学長清きよざわ沢満まんし之です。仏教を学び人として生きていくためには、僧侶も世の中の諸問題を学ぶ必要があると考えた清沢が、1901年に東京の巣鴨に開いたのが真宗大学です。1913年には設立母体である東本願寺に近い京都に校地を移し、2021年の10月13日に近代化120周年を迎えました。その際、大谷大学第2次中長期プラン「グランドビジョン130(2022~2031)」の概要を公表しました。大学の理念・使命を「仏教精神に則り、人格を育成するとともに、仏教並びに人文に関する学術を教授研究し、広く世界文化に貢献する」と確かめ、また将来像を「『Be Real―寄りそう知性―』の発揮に向けた、学び空間の創生」と表現しています。この理念・使命および将来像に示したように、本学が目指してきた教育の中核は“仏教精神に基づく人間教育”です。特定の宗教の教義を教える大学ではなく、立ち位置によって見え方の違う現代社会の悩みや問題を、釈尊や親鸞の言葉を通じて見つめることで、人間の生き方の根っこ(基盤)を明確にしていくことが本学の人間教育です。ですから本学では、壁にぶつかった時こそ深い「問い」が出てくるので、悩むことや問いを大事にしてほしいと伝えています。「問い、続ける。」という大学ブランディングの一環で使用しているワードは、開学以来変わることなく本学が目指してきた人間教育の在り方を端的に表現したものです。カリキュラムにおける人間教育の特徴的なものとして、「人間学」という授業を設けています。「人間学Ⅰ」を第1学年の全学部必修科目とし、第2学年では「人間学Ⅱ」として、歴史からテクノロジーまで幅広いテーマに発展させた選択科目で学びます。「人間学Ⅰ」の共通テキストはあえて作らず、学科ごとに社会学なら社会問題、教育学なら昔読んだ絵本など、学生が問題意識を持ちやすい切り口の教材を教員が用意し、教員同士で反響が良かった教材を持ち寄って共有しながら授業を工夫しています。最近の学生の傾向として“マル”か“バツ”かという二項対立的な正解を求める風潮が強くなっているように感じますので、そのような窮屈さを解きほぐすことを大事にしています。2012年には、2021年までの大谷大学第1次中長期プラン「グランドデザイン(2012-2021)」を策定し、5つの方針の基に、様々な改革に取り組んできました。そして2018年4月、それまでの文学部1学部体制から、社会学部と教育学部を新設した3学部体制となりました。背景として、当時は文学部の中に9つの学科があり、教育内容が学外から見た際に分かりづらくなっていたことがあります。そこで、社会学科と人文情報学科を社会学部へ、仏教精神に基づき、“問い続ける”人間教育を目指す。仏教に基づく人間教育大谷大学 学長一楽 真文学部1学部体制から4学部体制へ

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