57リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022教育・心理学科と短期大学部幼児教育保育科を教育学部へと発展的に改組することで、社会から見て分かりやすい学部構成にし、学問の特性に応じた教育実践を行おうとしたのです。3学部体制となったことに伴い、本学を象徴する新メッセージ「Be Real―寄りそう知性―」も打ち出されました。「Real」には、仏教でいう「真実」と目の前の「現実」という2つの「実」の意味が込められていて、目の前の現実にしっかり目を向けて、あるべき社会や自分を探究することが、本学が求める学びの姿勢であることを示しました。「寄りそう知性」は、どの学部・学科で学ぼうとも、仏教精神に基づく学びから得られる知性は「他者に寄りそう」ことだということを示しています。同時に、3学部に分かれても、本学は仏教による人間教育を行う大学だということを前面に出すため、2018年に仏教教育センターが設置されました。仏教教育センターは、「人間学」の授業内容の検討や宗教行事の推進など、仏教に基づく大学風土を全学的に醸成する組織としての役割を担っています。私は初代仏教教育センター長として、2022年3月末までの4年間を務めました。2021年4月には国際学部を設置しましたが、先の2学部と目的は同じで、文学部の中にあった国際文化学科を学部化し、現在は4学部体制となっています。新学部設置の効果として、文学部1学部のみだった時とは明らかに違い、学部名から具体的な学びの内容が見えやすくなり、本学での学びを理解した学生が、入学の時から自分の目的を持って選んでもらえるようになっていると感じています。志願者数の面でも、2018年度の社会学部、教育学部の設置により、大学全体の総志願者数が2017年度から倍増したことは、高校生にわかりやすく表現できた成果であると考えられます。近代化120周年の節目に、2031年までの大谷大学第2次中長期プラン「グランドビジョン130(2022~2031)」を公表しましたが、新ビジョンでは「適切な世界観をもって、未来を、主体的かつ柔軟に生きることのできる人物を育成する」ことを掲げ、5つの方針の基に2022年度より新たな重点施策を推進していきます。新学長として、これからも本学は、壁に直面しても喜びをもって人生を生きられる学生が育つ場所でありたいと思っています。世間の価値観で測るのではなく、人間の相すがたを見すえた仏の智慧により得られる眼まなこで見れば、ものの見方が変わり、世界は違って見えてくる。そのような眼をもって生きていけるのが大谷大学らしさなのかもしれません。同時に、「Be Real―寄りそう知性―」というメッセージは、仏教の智慧と慈悲を現代風に言い直したもので、非常に大切なことを表現していると思っています。私もこれを引き継いで、他者、そして自分自身を大事にできる学生を育てていきたいと考えています。(文/能地泰代 撮影/桑島 薫)今年度より第2次中長期プランが始動いちらく・まこと1957年生まれ。大谷大学大学院文学研究科博士後期課程(真宗学専攻)満期退学。文学博士。大谷大学准教授などを経て、2009年に文学部教授。大谷大学 前仏教教育センター長。2022年4月、第29代学長に就任。著書に『シリーズ親鸞 親鸞の教化』(筑摩書房)など、ほか多数。
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