カレッジマネジメント232号
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64リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022最大の特徴は、プログラムを二階層にしたことだ。図2にあるように、新入生全員(約2500名)への導入である入門レベル「AIMDの基礎」と、その先に行きたい意欲的な学生への教育として「挑創カレッジ コンピュテーショナル・データサイエンス(CDS)プログラム」を整備した。まず「AIMDの基礎」は、全学教育に当たるAIMD関連科目群より、「情報基礎A」または「情報基礎B」を単位取得すること。挑創カレッジとは、Vision2030のVISION1「教育」に基づき、学生の挑戦心に応え創造力を伸ばす教育を展開することにより、大変革時代の社会を世界的視野で力強く先導するリーダーを育成すべく、現代的リベラルアーツの素養を修得する学びの場として2019年度から開設されたもので、CDS以外にもグローバルリーダー育成プログラム(TGL)、企業家リーダー育成プログラム(TEL)といった教育プログラムが整備されている。二段階にしている理由を、早川氏は「ベースラインと応用に進みたい学生とでは授業に求めるニーズが異なるため」と説明する。また、応用基礎レベルではなくリテラシーレベルで二段階にした理由については、「高校で数学をやっているかどうかで、ベーシックな統計学でも入りやすい人とそうでない人がいる。初学者向けと素地がある人の違いは、高校までの学習履歴の差として表れやすい」という。CDSはモデルカリキュラムの「オプション」に相当するより高度な内容だが、そこまでを全学部の学生に提供できるようにした。なお、現状CDS履修者は文系・医学系を含めた全学部の学生が受講しており、大学院生や他大学の履修者もいる多様な状況だという。まさに自らの意欲に応じて選択した学生が集う場となっているのだ。この教育展開の実働を担うのがデータ駆動科学・AI教育研究センターである。AIMD教育担当機関として専任スタッフ12名体制で活動しており、学内からは各分野の研究者からのフィードバックを受けながら教育をチューニ図2 採択内容の概観東北大学AIMDリテラシー教育の概要新入生全員への導入(AIMDの基礎)と意欲的な学生への深い学び(挑創カレッジCDS)の二層構成東北大学のAIMD教育●文理を問わず全ての学部学生が4つの科目群から履修●AIMDの基礎として情報基礎Aまたは情報基礎Bを1年生全員が履修、情報の基礎、統計の基礎、数学の基礎からそれぞれ1科目以上の履修を推奨●モデルカリキュラムのオプションまでを含むより高度な内容を学修(2019年度から開設)●全学部の学生が履修可能な体制CDSプログラム修了要件必修科目:機械学習アルゴリズム概論、および実践機械学習1の単位の取得選択科目:その他、AIMDの基礎および情報の基礎から4単位、統計の基礎、数学の基礎からそれぞれ2単位以上を取得挑創カレッジCDSプログラム修了証の発行1. 導入から発展的な内容までを全員に提供2. 企業との共同研究開発によるeラーニング3. 研究総合大学として特徴あるコンテンツ4. 民間資格等による動機づけ5. 教材開発、MOOC、科目提供等による多角的な普及展開6.各界の専門家を交えた企画・運営体制●「情報の基礎」に属する科目群を「学都仙台単位互換ネットワーク」の提供科目として学外に開放AIMDの基礎修了要件「AIMDの基礎」科目群から2単位取得AIMDの基礎挑創カレッジコンピュテーショナル・データサイエンス(CDS)プログラム東北大学AIMD教育の6つの特徴科目群科目名AIMDの基礎情報基礎A、情報基礎B (各2単位)情報の基礎機械学習アルゴリズム概論、実践機械学習1、2、AIをめぐる人間と社会の過去・現在・未来 等 (各2単位)統計の基礎数学概論D、数理統計学概要、数理統計学 (各2単位)数学の基礎数学概論A、B、C、解析学概要、線形代数学概要、解析学A、B、線形代数学A、B (各2単位)AIMDの基礎CDS専門家育成データ駆動科学・AI教育研究センター(2019年10月設置)AIMDアドバイザリー委員会大手シンクタンク、大手生命保険会社、最大手プラットフォーマー、国際企業、宮城県、仙台市AIベンチャー企業、グローバル情報企業、データ通信関連企業等学務審議会データリテラシー共通教育基盤運営委員会、挑創カレッジ運営委員会全学的な制度設計、科目運営、評価改善等科目・教材開発、普及活動等共同研究、講師派遣等高度プロフェッショナルレベルAIMD : AI, Math. & Data scienceの略称応用基礎レベル全学教育入門レベルリーダー育成二段階構造の教育で学生の多様な意欲に対応する

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