カレッジマネジメント232号
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77リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022これまでもAP(大学教育再生加速プログラム)、COC、COC+といった大学改革を支援する取り組みもあり、地域との連携は各大学でも様々な形で進められてきた。また大学コンソーシアムに参加する大学は2021年時点で全体の6割を超えた。だが、地域が求める人材のためのカリキュラムを編成している大学は3割に満たない(図1)。大学と地域との連携はまだまだ表面的なところで止まっているケースも多いと考えられる。地域と大学の本質的な連携を進めるため、SPARCが狙うのは、学位プログラムまでの反映である。「これまでの座組のなかでやれる範囲でやっていきましょう、という話ではありません。『大学を地域の起爆剤として活用する』『社会全体を大学のフィールドにする』といった連携のあり方を進めていく必要がある。SPARCはその優れた事例を創出していくための事業です」(西氏)。ではSPARC事業の主な要件を図2とともに見てみよう。・地域連携プラットフォームの構築SPARCで想定する地域連携プラットフォームは、大学と自治体・経済団体に加え、金融機関が入るところが特徴的だ。金融機関が入ることで、地域産業の現状や将来像についての知見を取り込むことが期待される。地域の対象は特に制限がなく、市、県、経済圏といった単位での連携も可能となる。このプラットフォームで期待されるのは「求める人材像の明確化」と「人材育成のための地域資源の集中」だ。「地域が求める人材像を地域連携プラットフォームで徹底的に議論してほしいと考えています。大学はこれまで既存の資源で教えられることを起点に人材像を導いてきたところがあります。一方、地域の企業も欲しい人材像を、大学に対して明確な言葉でまだ伝えられていないという状況もあるでしょう。大学4年間でどういう人が育成されると地域が本当にうれしいのか、決して形式的な形にとどまることなく議論していただき、人材像の明確化をSPARC事業の前提条件としていきたいと考えています」(文部科学省大学改革推進室長補佐 早川 慶氏)。地域連携プラットフォームと大学等連携推進法人から始まるSPARC図表2 SPARC事業の全体イメージ■取組イメージ大学の授業科目の先取り履修や、理系進学を敬遠しがちな女子生徒向けの取組等を実施対象:異なる設置形態の大学による構想・計画資金:民間からの資源も獲得取組の内在化:事業の継続的発展性を確保するため、 事業の進捗に合わせ 補助額を逓減事業期間 :最大6年間(令和4年度~令和9年度) 〇〇大学〇〇工科大学〇〇学園大学〇〇大学〇〇工科大学〇〇学園大学〇〇大学〇〇工科大学〇〇学園大学STEAM教育を基盤とした学部等へと再編学部等の再編を目指す取組【選定件数・単価】5件×200,000千円タイプ①※中間評価時に学部等の再編計画を提出し、 令和10年4月までに実施連携開設科目を活用し、教育機能の強化高度な連携を目指す取組【選定件数・単価】4件×100,000千円タイプ②事業スキーム地域社会地域連携プラットフォーム大学等連携推進法人求める人材を育成するため地域資源を集中地域と連携した教育プログラム高大接続オンラインもフル活用した一体的運営連携大学のリソース等を活用した横断的なSTEAM教育人文社会学理学・工学情報学・統計学地域の場を活用したPBLアントレプレナーシップ教育地域学(寄付講座等)●求める人材像の明確化●地域が提供できる教育資源を提示・教育プログラムの提案・奨学金返還支援・実務家教員の派遣 等【事業内容】地域社会と大学間の連携を通じて既存の教育プログラムを再構築し、地域を牽引する人材を育成金融機関自治体経済団体出典:文部科学省 令和4年度大学教育再生戦略推進費「地域活性化人材育成事業~SPARC~」事業説明会について

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