カレッジマネジメント232号
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78リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022・大学等連携推進法人の設立SPARCの公募に当たっては大学等連携推進法人の設立も要件となっている。大学等連携推進法人とは、 複数の大学が社員となり大学間連携を目的として設立した社団法人を認定する制度であるが、社員の大学間では「連携開設科目」として、他大学の開設した科目を自大学が開設した科目として取り扱うことが一定の範囲で認められる。つまり自分の大学にない科目をほかの大学から調達して単位に組み込むことが認められている。ここで期待されるのがSTEAM教育の進展だ。科学技術人材や文理横断人材の育成が政府方針として求められている今、連携大学のリソースを活用した連携開設科目を共有することで、例えば文系大学においても大きな投資をすることなくデータサイエンス等のSTEAM教育を展開することができる。現在、大学等連携推進法人として認定されているのは国立大学法人山梨大学と公立大学法人山梨県立大学による「一般社団法人 大学アライアンスやまなし」の1件だけだが、現在いくつかの大学が設立に向けて動きつつある。法人認定は年3回の受付期間があり、認定結果は2~3カ月後。法人設立がスピーディーに進むための仕組みも整えられている。・学位プログラム単位での申請地域連携プラットフォームで明確化した「地域社会の求める人材像」。大学等連携推進法人による「文理横断型の教育」。この2つの基盤をもとにSPARCが要件として定めるのが「学位プログラムの再構築」だ。正課の124単位の中身の見直しであり、正規の学位プログラムの外付けで、教育プログラムを構築するだけの申請は想定していないという。「これまでのCOC事業等では地域と連携した特別カリキュラムを正課外に設定し、意識の高い学生が各学部から数人参加する、というものが多かった。しかしSPARCでは正課内の見直し・再構築を進めることを目的とし、学位プログラム単位での申請となります。また学生全員が再構築された教育プログラムを受講することを要件としています」(早川氏)。・地域課題PBLとアントレプレナーシップ教育学位プログラム内には地域課題PBLとアントレプレナーシップ教育の実施も期待される。地域課題PBLは各地域が抱える課題を題材に、地域社会と連携した実践的な問題解決型の学修が想定され、大学で学んだ専門知識を世の中に活かしていく経験を地域・ほかの学部・ほかの大学生とともに考える機会の創出につながる。また、アントレプレナーシップ教育の意図はいわゆる起業家育成とは異なるところにある。「地域にあるリソースや環境の制限を超え、新しい価値を生み出す人材の育成を目指しています。例えば地域の老舗企業に入社したり、家業の二代目・三代目になる方が、今までの事業を継承するだけでなく、改革マインドを持って挑む。そういったマインドをアントレプレナーシップという言葉で表現しています」(早川氏)。SPARCの申請はタイプ①とタイプ②の2つに分けられ、学位プログラム単位での申請となる。タイプ②「高度な連携を目指す取組」は前述のプラットフォーム・法人設立と、連携開設科目の活用による学部プログラムの再編を指す。選定件数は4件で年1億円を補助(逓減あり)、6年間で上限5億円となる。一報、タイプ①「学部などの再編を目指す取組」はタイプ②に加えて学部や学科の再編が伴い、大学設置・学校法人◆令和4年度3月初旬公募開始3月公募説明会の開催5月下旬公募締切り8月頃 面接審査8月下旬選定結果公表9月上旬交付内定(事業開始)◆令和7年度中間評価の実施◆令和10年度(事業終了後)事後評価の実施図表3  SPARC事業のスケジュール実施スケジュール(現在のイメージ)SPARCで目指すのは正課外のプログラム構築ではなく、正課内124単位の見直しと再構築申請はタイプ①とタイプ②の2種タイプ①は学部などの再編も伴う取り組み地域連携で発展する大学 

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