カレッジマネジメント232号
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81リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022検証する」ことも事業の柱とし、卒業生の自己評価と就職先の上司による他者評価の2つで、卒業生調査を実施した。教員の意識改革あるいは意識共有も、3つの柱の1つだ。FD・SDウィークの実施をはじめいくつかの取組が行われている。例えばリフレクション面談には、全教員が学生を一人ひとりみる「アドバイザー教員」という既存の仕組みが活用された。「ただ面談は1年生には手厚く、2年生以上になると回数も少なくなる傾向にあったので、AP事業を機に、全学に改めて打ち出しました」(櫻井学長)。掛け声だけでなく、研修も用意して教員をサポートした。大学教育再生加速プログラム委員会による事後評価では、「10+1の能力」の策定と評価指標の開発・運用、地域との協働実績等と並んで、教職員の意識改革の推進も認められて、総合でS評価を得ている。櫻井学長は、一番アピールできる成果は「ディプロマ・サプリメントで客観的に評価できるようになったこと」と言う。「自分の強み弱みが書いてあるサプリメントは、単なる成績評価とは全然違う。それを見ることで学生は『この能力では人には負けへんで』という自信を持てる。その上で、いいところをいっそう伸ばしてほしい」。「学ぶと働くをつなぐ」観点で残った課題として、大学教育創造センター長の塩崎俊彦教授は、ディプロマ・サプリメントの活用度を挙げた。「企業の方々にはまだご理解いただけてない部分が多いと感じます。社会とのすり合わせが十分にできていない状態なのは否めません」。今後、教学マネジメントを機能させていく上では、「データをどう活かしていくかについて、もっと全学的に協議していく場が必要」と塩崎教授は言う。「『10+1の能力』の学生の自己評価が伸びている要因をデータを基に分析する、リフレクション面談等で教職員が学生の伴走者となって学生をサポートしていくことが必要だと思っています」。櫻井学長は地域協働型教育の今後について、展望と抱負を力強く語る。「現在掲げているのは、『地域を支え、地域を変えることができる大学へ』。『へ』が、入っています。つまり、今はまだ『スーパー・リージョナル・ユニバーシティ』とは思っていません。地方の大学の改革に関連して「地域連携プラットフォーム」が話題ですが、本学は以前から、FBC事業でもCOC事業でも、プラットフォームをたくさん作ってきました。今はむしろプラットフォームを卒業して、ステーションの中核になりたいと思っています。それが達成できたときに、『へ』が取れて、堂々と『高知大学はスーパー・リージョナル・ユニバーシティです』と言えるようになるとイメージしています」。(文/リアセックキャリア総合研究所 松村直樹)企業の理解促進とデータ活用が今後の課題プラットフォームから地域の中核ステーションへアセスメント・スケジュール大学生基礎力レポート10+1の能力評価(自己評価)リフレクション面談リフレクション面談リフレクション面談10+1の能力評価(自己評価)10+1の能力評価(統合・働きかけのパフォーマンス評価)10+1の能力評価(統合・働きかけのパフォーマンス評価)10+1の能力評価(自己評価)10+1の能力評価(自己評価)10+1の能力評価(職場評価)大学生基礎力レポートe-ポートフォリオを用いた振り返りディプロマ・サプリメント職場リフレクション・セメスター1年生2年生3年生(医学科は5年生)卒業後4年生(医学科は6年生)学生教員学生+教員

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