カレッジマネジメント232号
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88リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022大同大学は、1964年に中部産業界の支援を受け設置され、2021年度時点では、学生数約3500人、教職員数約200人からなる私立大学である。2学部、7学科で構成され、「実学主義」を理念としている。建築学科の建築、インテリアデザイン、土木・環境の3専攻は、学園本部や他学科が集まる滝春校舎からやや南に離れた白水校舎にあったが、他学科との連携が難しいうえ、築50年を経て老朽化が問題視されていた。そこで、それらを新築移転し、大学キャンパスの一体化を図ることを目的に造られたのがこのX(クロス)棟(以下X棟)である。前面道路を隔てた滝春校舎のB棟には、広場に抜ける4層のピロティ状の開口があり、双方を視覚的につなぎ一体感を醸成するため、そこからX棟側へと延ばした東西66m、4層吹き抜けのDクロスモールを新校舎の軸とし、上空通路を介してつながることで動線の要ともしている。このDクロスモールや中庭を中心に、スタジオや講義室、ゼミ室等が囲むロの字型の平面とし、随所にラウンジやラーニングコモンズを配置することで、学生や教員たちに交流が発生する仕掛けとしている。また、スタジオ、講義室、実験室、ゼミ室、研究室を全てガラス張りとすることで、他の学生や教員達の活動が垣間見え、互いに見る・見られる・刺激しあう関係を誘発する場としている。1階がスタジオ等の実験室群と学生ホール、上空通路を介してB棟とつながる2階は講義室、3階は建築専攻とインテリアデザイン専攻が、4階は土木・環境専攻が使用するフロアとなっている。教員の研究室と4年生のゼミ室を、廊下を介して配置することで、すぐそこに教員と学生の交流が生まれる環境としている。さらに、実際にモノを見る、触れる、作ることを原点とする「実学主義」を掲げる大学にふさわしい学びの教材となる校舎を目指し、床や壁等には、コンクリートや金属、木材等、多様な素材を使用しているほか、天井を設けず構造や設備が見えるゼミ室やガラス張りのエレベーターなどを、「生きた教材」とし4階レベルから「Dクロスモール」の南東側をのぞむ。Dクロスモールを中心として、中庭やスタジオ、ラウンジやラーニングコモンズが分散配置されている。

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