カレッジマネジメント232号
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89リクルート カレッジマネジメント232 │ Apr. - Jun. 2022て配置している。最大の特長となるのが、今後のアクティブラーニング化に向けて設けられた、ラウンジとラーニングコモンズである。広く開かれた席であったり、少し奥まって落ち着くような席であったり、窓際のカウンター席であったりと、様々な特徴を与えて、21カ所に分散配置した。ゼミ活動やグループワークなど大人数の活動に適している場、誰かに相談するときに適している場等、それぞれの空間の性格に合わせた使われ方が既に始まっている。学生からは「ガラス張りの校舎は、最初は落ち着かないかと思ったけれど、全然そんなことはなくて、逆に見られていると思ったほうが集中できる」、といった声や、近年は在籍者数が増加している女子学生からも、「講義室が全部外から見られているほうがむしろ安心できる」、とポジティブに受け止められている。供用開始直後は、リモートと対面が半々の状態で開講したが、点在しているラウンジやラーニングコモンズでリモート授業を受ける学生も多く、密にならないように、好きな場所で授業を受ける状況が見られ、当初コロナとは無関係にイメージしていた学生による空間の使い方が、むしろより鮮明に見えてきた。一方、リモート授業が主流になる中、学生が集い、共に学び、共に競い合う、構想した本来の「学びの場」が戻ってきたときこそが本当にX棟が完成したときだともいえる。今後、時代がどのように変わっても変わることのないものが、「実学主義」という本学の理念だが、その「実学」もまた進化させていくために、2030年に向けた行動指針としてDAIDO VISION 2030を策定した。そのタグラインは『自分が変わる、未来を変える。』である。このX棟の活用を通して、本学の「実学」がさらに進化し、建学の精神である「産業と社会の要請に応える人材の養成」に応えつつ、『自分が変わる、未来を変える。』環境としていきたい。(文/大同大学工学部建築学科 学科長武藤 隆・教授) 撮影 鈴木文人Dクロスモール西側の3階ラウンジ。開放的な吹抜空間で、上空通路接続先のB棟越しにキャンパスを一望できる。モノトーンの家具を配置することで、落ち着いたラウンジの性格を持たせている。天井を設けず設備が見えるゼミ室。予め設置したライティングダクトなどを利用し、ゼミ室ごとにカスタマイズして各々ゼミの個性を出している。ガラス張りの廊下からは、ゼミ室を介して中庭やテラスへと視線が抜ける。Dクロスモール、スタジオ、ゼミ室、ラウンジがそれぞれ面する中庭。各室が中庭側にも出入口を持ち、中庭も主動線となる。Dクロスモール東側の2階ラウンジ。リラックスでき、カラフルな家具を配置することで、にぎやかなラウンジの性格を持たせている。中庭に隣接した2層吹き抜けのスタジオ。2階廊下から授業の様子を見下ろすことができる。手前は展示やプレゼンテーションができる大階段スペース。

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