カレッジマネジメント234号
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特集0123関東・東海・関西それぞれのエリアで、2008年と2022年の全体、男女別、文理別(文理別のみ2009年と比較)の志願度を比較してみると、エリアやセグメントごとに特徴が異なることが分かった。それは、それぞれのエリアの人口動態や産業構造等によって、マーケットの特徴が少しずつ異なるからである。特にそれは、新たに20位以内のランキングに入ってきた大学に表れている。関東では、全体として総合大学のランキングが上昇しており、女子大学が20位以内に存在しなくなった。これは、総合大学が女子の獲得に力を入れているからであるが、東海・関西では女子大学が健闘していることから、今後女子大学にも取り組みの余地があるのではないか。東海では、国公立大学の志願度が高まるなか、関東の大学に比べて、関西の大学の存在感が増している。これは、人口減少率が全国平均を上回る関西の大学の危機感の表れとも見てとれる。関西では、2008年以降に開学した大学が、新学部を設置し、学問領域を拡大することによって、上位20位以内にランクインしている。これを見ると、18歳人口が減少するなかにおいても、新たな個性や価値を提供できる大学に対しては、高校生の期待が集まる余地があることを示している。また、東海、関西では、男子で工学系学部を持つ大学の人気が高まり、女子では看護・医療系の学部を持つ大学の人気が高まってるということも明らかになった。この状況が今後継続するかどうかは言い切ることが難しいが、一つの大きなトレンドと言ってよいだろう。最後に、一つだけ言えることは、志願度を高め、新たに20位以内にランクインした大学は、改革を積極的に行っているということである。大学の統合や合併、新たな学問領域に挑戦したり、商品ラインアップである学部を新設・改編しているのだ。社会環境が大きく変化しつつある状況を、ただ指をくわえて見ているだけでは、高校生の支持は得られない。人口減少は予想を超えて進んでいる。動かなければ地盤沈下は避けられない。マーケットを見据えた積極的な(文/小林 浩)チャレンジが必要なのである。 ●変えた時ではなく、高校生に伝わった時に 初めて志願度が上がる●広告・宣伝だけでなく、 メディア露出や口コミも影響改革への積極的な取り組みは志願度に表れる大学ブランドを決めるドライバー​15年を俯瞰してみると──大学統合や合併、学部の新設・再編等新たなチャレンジが志願度向上のカギだった時代のニーズに合致した大学改革ターゲットに合った広報戦略

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