カレッジマネジメント234号
27/116

特集01高校生が時代変化に拘わらず重視する項目変わらず重視される項目がある一方で、「学びの内容」「自分に合った入試方法」を重視する高校生が徐々に増えてきている高校生が重視する項目の変化とその理由高校生が進路環境変化に伴い、より重視するようになった項目大学ブランドを決めるドライバー​教育内容入試規模変化した重視項目27※検証条件;関東、関西、東海全ての重視項目※「全体」「男子」「女子」「文系」「理系」全てのクロス軸で①変わらない②変わるで項目抽出※1:②は、各項目のCAGRを算出し、伸び率3%以上の項目を抽出した進学先を検討する際に重視する項目を、過去14年のスコア変動で見てみると、時代に拘わらず重視する項目と、時代変化によって重視しつつある項目があることが分かった。時代に拘わらず重視する項目は、「学びたい学部・学科がある」「校風や雰囲気が良い」「自分の興味や可能性が広げられる」「自宅から通える」「キャンパスがきれいである」といった、いわば“鉄板”項目である。一方、スコア変動で数値の伸びを見ると、上昇率の高い項目=重視しつつある項目がある。伸び率が高かったのは「教育内容のレベルが高いこと」「学生の学力が高い」「教育方針・カリキュラムが魅力的」の順で、『教育の質や内容』に関するものである。続いて「入試方法が自分に合っている」「規模が大きい」の順となっている。定員厳格化が落ち着き、規模の大きい難関大学にも入りやすくなったこと、多様な入試制度の中から自分に合ったものを選べるようになってきたことが要因ではないだろうか。変わらない重視項目<常に上位にある項目>●学びたい学部・学科がある●校風や雰囲気が良い●自分の興味や可能性が広げられる●自宅から通える●キャンパスがきれいである2009年〜2022年のスコア変動から見た2つのファインディングスこうした高校生の重視項目の変化を理解するために、P28~29を参照いただきたい。これは、高校生が各大学に志望した理由として書いてもらった自由回答をテキストマイニングに掛け、キーワードを抽出したものである。これを見ると、自身を取り巻く環境の変化に、高校生が敏感に反応していることが分かる。2015年には“学部”“就職”“有利”という言葉が中心にあった。2019年は大学入学共通テストの導入が決まり、英語4技能や記述式の活用が話題になる一方、定員厳格化により大手私立大学の難化が進んだ年である。ここでは、“入試”という言葉が圧倒的に多く記されていた。2020年はコロナ禍での休校となる一方、定員厳格化が落ち着きを見せた年である。“学部”が復活し“学ぶ”という言葉が増えた。2022年になるとコロナ禍が定着した中“学ぶ”が中心になり、“通える”“通いやすい”という言葉が多く記されるようになっている。 (文/小林 浩)<伸び率が上位の項目>1位;教育内容のレベルが高いこと2位;学生の学力が高い3位;教育方針・カリキュラムが魅力的4位;入試方法が自分に合っている5位;規模が大きい学びの質や内容、自分に合った入試方法を重視する高校生が増加

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る