カレッジマネジメント234号
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るる る 1位少なくともどこかに就職できる可能性が高求められる総花主義・平均主義からの脱却特集01472位自分の目指す仕事・職種につける3位有名企業や大手企業に就職できる可能性が4位将来の選択肢が広がる5位学生生活が楽しめる6位幅広い教養を身につけられる7位将来、高収入を得られるようになる8位クラブ・サークル活動を楽しめる9位研究や教育レベルが高いところで学べる10位自分のやりたい専門分野の勉強に集中できい」という高校生がいる。もちろん、MARCHという名前の大学は存在しない。一方、専門学校は、偏差値がないため、強みや個性を徹底的に磨き込み、その学校でしか学べないことをアピールしている。それが、高校生には伝わっているのである。では、その学校ならではの魅力が高校生に伝わるにはどうしたらよいのか。それは、総花主義、平均主義から脱却し、その大学ならではのミッション、ビジョン、バリューを確立することだ。そのためには、その大学の強みを見いだし、全学で共有し、磨き込むことが重要である(差別化集中戦略)。その大学の強みは何か、ほかではなくその大学で学ぶ価値は何なのかを社会に発信し、ストーリーとして認識してもらうことが重要である。本誌の後半で、早稲田大学ビジネススクールの山田英夫教授に、2号にわたる連載『競争しない競争戦略』をご執筆頂いている。詳しくはお読み頂きたいが、ほかにはない強みを特徴とし、社会に認くなる高くなる図2 大学・短大・専門学校、それぞれの学校種に進学するメリットは何か(回答項目上位を抜粋)短大や専門学校では「そこでしか学べない内容がある」が上位に。各大学の学びの個性は伝わっていないのでは64.9自分の目指す仕事・職種につける58.5少なくともどこかに就職できる可能性が高くなる53.9早く社会に出られる(2年で卒業できる)52.4自分のやりたい専門分野の勉強に集中でき50.3そこでしか学べない内容がある47.6卒業するまでの学費が安くてすむ44.4特定の業種・業界に就職しやすい資格試験に有利(合格率が高い)43.8 41.2やりがいのある仕事ができる38.3就職してから活躍できる実力を身につけられる識してもらうことで、競争しないマーケット構造を作り上げるのである。その際、重要なのは「インナー・ブランディング(コミュニケーション)」である。高校生や社会に価値が浸透するのが最終目標ではある。しかし、その前に大学内で、しっかりとミッション、ビジョン、バリューを共有し、強みを学内で共通言語化することが重要である。大学の個性や強みが浸透している大学は、その大学の学長、教職員、学生に聞いても、同じ言語で語られていることが多い。学長や広報担当者だけが、発信するだけでは一過性に終わり、長期にブランドを築くことは難しい。私は、多くの大学を訪問しているが、大学は意外と「インナー・ブランディング」が苦手なのではないかと考えている。進学ブランド力調査15回の志願度を見ると、50年、100年続く伝統的な大学を、新しくできた大学が上回る事例も出てきている。何となく昔から存在している強みや個性を、もう一度この機会に見直し、他大学とどのように差別化を図っていくのか、学内で議論してもよいのではないか。60.9自分の目指す仕事・職種につける47.7自分のやりたい専門分野の勉強に集中でき46.6特定の業種・業界に就職しやすい46.1手に職をつけられる34.1資格試験に有利(合格率が高い)33.6少なくともどこかに就職できる可能性が高32.332.3くなるそこでしか学べない内容がある社会に出てから、現場で即戦力になれる31.7実習時間が豊富31.6やりがいのある仕事ができる出典:リクルート進学総研「進学センサス2022」(文/小林 浩)75.466.760.052.551.948.347.946.446.345.8(%)大学進学のメリット短大進学のメリット大学ブランドを決めるドライバー​専門学校進学のメリット

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