カレッジマネジメント234号
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4Driver強みの創造と差別化戦略14年間でのべ志願者約13万人増を実現“エッジを効かせた”戦略が功を奏した48考察ブランドの変遷を左右してきた4つのドライバー千葉工業大学は、近年志願者数を急速に伸ばしている大学のひとつだ。右ページの図に示したのが同大学の一般入試ののべ志願者数の推移。2008年度には1万人に満たなかったが、その後はほぼ右肩上がりの増加を続け、14年後の2022年度には約13万人増の14万人近くに達している。同大学入試広報部部長の日下部 聡氏、同次長の大橋慶子氏は、この志願者数増について次のように分析する。「様々な要因がありますが、なかでも大きなものが2つあります。1つは入試制度を毎年のように変えていること。出願方法なども含めて、受験生が受験しやすいよう工夫を続けてきました。もう1つが、“ロボット”“宇宙”を前面に打ち出したブランド戦略を採ったことで、メディアへの露出が増えたことです。この2つに加えて、補習等の学生フォローに力を入れることで、一時期は全国ワースト5にも入っていた退学率の大幅改善に成功したことも、高校の先生方からの評判の向上につながっていきました」このうち同大学の独自の戦略として象徴的なのが「ロボット」「宇宙」にフォーカスしたブランド戦略だ。例えば、大学案内の表紙にマンガ『宇宙兄弟』を採用するなど、その方針は現在も徹底しており、今や「ロボット、宇宙といえば千葉工業大学」というイメージは広く浸透している。しかし、同大学には、工学部、創造工学部、先進工学部、情報科学部、社会システム科学部の5学部があり、学科も建築学、生命科学、情報工学など多岐にわたる。未来ロボティクス学科は先進工学部の1学科に過ぎないが、それにもかかわらずロボット、宇宙に特化した戦略にシフトした理由は何なのだろうか。「未来を見据えたとき、これらの分野が今後注目されていくであろうという予測と、高校生に分かりやすく訴求できる分野でもあることが理由です。大胆な大学改革に着手していた現理事長が決断しました」当初はロボット、宇宙以外の学部・学科から不満の声も挙がったというが、この“エッジを効かせた”戦略は、前述の志願者数増が示す通り、結果につながった。入試広報部 部長日下部 聡 氏fuRoが開発した変形する搭乗型・知能ロボットRidroid(ライドロイド)シリーズ「CanguRo(カングーロ)」。このような先端的ロボットを次々に世に送り出すことが、ブランドイメージの浸透につながっているPhoto: Yusuke Nishibe写真:西部裕介入試広報部 次長大橋慶子 氏onsideration「ロボット」「宇宙」を前面に打ち出した独自のブランド戦略で志願者大幅増を実現千葉工業大学C

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