カレッジマネジメント234号
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I5序論全入時代突入と年内入試シフトで重要となる早期の認知変化する社会のニーズに対応した大学改革の推進が重要学修者本位での1分で語れるストーリーをリクルート進学総研所長・カレッジマネジメント編集長小林 浩いる。各大学には、多様化する社会のニーズに対応して改革を推進する力が求められる。例えば、社会のニーズに合致した学部・学科の新設・改編、新たな教育プログラムの導入、卒業までに学生が何を身につけるのか、そのためにどのようなサポートをしているのかといった点において、常に変化を恐れず改革を推進している大学の志願度が高まっている。その実現に向けて、近年では大学の統合や合併、地域や産業界との連携も積極的に進められている。都市部へのキャンパス移転も志願度向上に寄与するが、それだけでは志願度向上の効果は一時的となっている。オンラインでも十分学べる時代だからこそ、新たなキャンパスでどのような価値を生み出していくのかが重要となる。受験生は毎年入れ替わり、高校生は3年間で全て入れ替わる。だからこそ、改革の手を緩めることはできないのである。では、今後の大学ブランドを高めるためのドライバーは何か。これまでの調査結果に基づいて、4つのドライバーを提示した。①時代に合致した商品ラインアップの充実②将来のキャリアを見据えた学びのサポート③学ぶ場のリクルート カレッジマネジメント234 │Oct. - Dec. 2022ntroduction今回は、進学ブランド力調査15周年を一つの節目として、過去データの再分析から、何が大学ブランドを左右するのか、そのドライバーについて検証を行った。そもそも、なぜ大学のブランド力について調査しているのか。それは、「大学が学生を選ぶ時代から、大学が学生から選ばれる時代に変わった」からである。2021年には、私立大学全体の定員充足率は99.8%※1とついに「全入時代」突入した。さらに、年内入試へのシフトが進む※2なかで、早期に高校生に認知され、進学したい大学群に入っていることが「選ばれる大学」に向けて重要な要素になると考えられる。大学の志願度を見る際に非常に重要なのが、「高校生が何を重視して大学を選んでいるか」である。これは、①学びたい学部・学科②校風や雰囲気が良い③就職に有利、というのが“鉄板”の上位3項目である。しかし、これらを含めて高校生の進路選択行動や志向は社会環境に大きな影響を受けて大学のブランドを醸成するものとは

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