カレッジマネジメント234号
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●中根正義氏●四元正弘氏対談今後、大学はどのようにブランディングについて考えていけばよいのだろうか。ブランディングの専門家である四元正弘氏と、長年記者として大学を取材し現在高等学校の校長である中根正義氏に、高校・大学・企業を俯瞰して会話頂いた。ランキングという「社会的証明」への依存50――本日は、大学は今後ブランディングをどう考えるべきかをテーマにお話を伺いたいと思っています。まずは四元さん、今企業が取り組んでいるブランド戦略については、トレンドというのはあるのでしょうか?四元 ブランドは、そもそもトレンドで動くものではないですし、ブランド戦略がうまくいっている企業なんて、全世界で見ても2、3%。つまりブランディングいうのはそれぐらい難しいものだと思います。大学の場合なら、まずは「うちの強みはこれだ」というカテゴリーを決めるべき。何が学べるのか、学んだらどういう人間になれるのか。絞れば絞るほど特徴が明確になり、卒業したときにどんな人間になっているのかを高校生がイメージしやすくなる。マーケティングでは「理想の自己像」と言いますが、絞っ(よつもと・まさひろ) 東京大学工学部卒業後、酒類メーカーを経て1987年に電通へ。2013年に電通を退職し、四元マーケティングデザイン研究室として活動するほか、あおもり21産業総合支援センターにも在籍。2019年から社会構想大学院大学にて教鞭をとる。専門領域は消費心理分析やブランディング、商品開発支援等。社会構想大学院大学コミュニケーションデザイン研究科 教授四元マーケティングデザイン研究室 代表て明確に発信することで、将来の理想の自己像としっかり摺り合わせができた学生を集められるわけですよね。――中根さんは今年4月に、メディアの記者から中高の校長に就任されました。今、四元さんから「理想の自己像」という視点についてお話がありましたが、中根さんが生徒さん達と接するなかで、高校生が大学を見る視点について何か気づきはありましたか?中根 実は、生徒達と日々話をするなかで、四元さんがおっしゃった「理想の自己像」を生徒達があまりにも描けていないことを痛切に感じています。ですので、自分が大学でどのように学んで、卒業してからどんなキャリアを歩みたいのかを考える場を、中学3年か高校1年あたりで作ろうと、教員達に言い始めたところなのです。卒業生にも教育や進路に関する専門家がいますので、子ども達向けに講演会をしてもらおうと考えています。四元 なるほど、素晴らしいですね。(なかね・まさよし) 千葉大学教育学部卒。法政大大学院政策創造研究科修士課程修了。毎日新聞社でサンデー毎日編集次長(教育担当)、大学センター長等を務め、2022年4月、芝浦工業大柏中学高等学校校長に就任。関東学院大経営学部客員教授、実践女子大学長特別顧問、創価大外部評価委員等も務めている。芝浦工業大学柏中学高等学校 校長毎日新聞客員編集委員(ファシリテーター)リクルート進学総研 所長『カレッジマネジメント』編集長小林 浩ross talkC大学ブランディング 今後の方向性Part3「入学してから10年後にどうなれるのか」大学の価値はそこにある

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