カレッジマネジメント234号
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大学入学時点からアドバンテージ受験校の絞り込みをはじめ、進路決定行動自体が早期化する傾向において、一人ひとりの高校生は、何を起点に、何を重視して、どのように意思決定しているのだろうか。2021年・2022年に年内入試で第1志望校への入学を果たした2名の学生に高校時代の進路検討を振り返ってもらった。高2夏に入試方式決定総合型選抜併願「3校は少ないほうかも」63高1の夏からアメリカに留学し、高2の夏に帰国。「留学経験自体を生かせる入試方式」として推薦・AOを選択しようと考え、予備校で総合型・学校推薦型選抜の準備に入りました。高校が留学者に推薦という方法を勧めていたということもあります。当時は、大学で学びたいテーマについては漠然としていたのですが、自分は留学でどういう経験をし、そこから何を学び、今後何を学びたいのかということと、大学を志望する理由を接続して論理的に記述できるようにする練習をするなかで、明確になっていきました。最終的に志望校が決まったのは、高2の3月か高3の4月ぐらいです。その過程では結構心が折れそうになることもあったのですが、留学経験者はたくさんいるなかで、「留学したこと自体」が武器ではなく、「『留学で何を学んだか』が大事」という気づきは大きかったですね。総合型選抜に絞り、3校に出願しました。最初に1校を受けて合格をもらい、心が軽い状態で本命校を1カ月後に受け、結果的に一番行きたい大学に決定しました。友人のなかには10校ぐらい併願したり、関西の大学まで受けている人もいました。また学校推薦型と総合型と両方の推薦パターンを併願する人も多かった気がします。専願だと、1年間紡いできた自分の研究テーマが爆発できなかったらそれで終わり。総合型選抜の準備と並行して一般入試の勉強もするように言われましたが、一般のみに絞って頑張ってきた人に比べると不利になりますよね。なので僕はAOのためだけに走り切ったという感じです。僕がいた留学クラスの友人は全36人のうち、一般にチャレンジしていたのは4、5人ぐらいだったと思います。推薦で考えている人が多かったので、かなり早い段階から受験ムードみたいな感じがありました。AO入試のための準備は人間的成長につながったと感じています。入学時点から自分が何をしたいのか明確になっていたので、授業の選択に迷うこともありませんでした。また、自分が将来どうなりたいか、そのために大学でどのように学べばよいかという道筋が早くから見えているというのはすごいアドバンテージだと思えますし、就職時にも役立つと考えています。青山学院大学 地球社会共生学部 地球社会共生学科1年藤井瀬名さん (2022年卒) 東京都出身東京都内の私立高校の留学コース卒業。留学先・アメリカのアグレッシブな高校生達から受けた刺激から、人材や組織さらには経営といったことへの関心や異文化に触れることの興味を言語化、志望校に結びつけた。早期化・長期化する受験活動特集02高1〜2年での留学経験が進路検討の起点入試対策プロセスのなかで「研究テーマ」が明確に総合型選抜で3校を併願

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